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【不定期連載】鈴木宗男×佐藤優 獄中往復書簡「ムネオ・チャンネル」第3回

[2011年03月01日]

獄中の鈴木宗男氏と佐藤優氏による往復書簡、第3回のテーマは普天間基地。出口の見ないこの問題に対して日本はどうすべきか?
「政権交代の原点に返って対処しろ」と訴える宗男氏の言葉は、自分の選挙を犠牲にしても米軍基地の一部を受け入れた政治家だけあって重みがある。
今、こんな政治家がいないことが日本の一番の問題かもしれない。

海兵隊訓練場を自分の選挙区に受け入れた宗男氏

「佐藤さん、ムネオさんは刑務所(栃木県・喜連川社会復帰促進センター)で何をしているのですか」とよく聞かれる。筆者がつかんでいる情報だと、鈴木宗男氏(前衆議院議員)は食事の配給係をやっている。これは刑務所でもいちばん忙しい仕事だ。鈴木氏自身の食事時間は10分しかないという。忙しくしている合間にも政治が気になる。1月24日に家族に届いた手紙には、普天間問題についてこう書いてある。

〈沖縄県民の心、思いを最大限尊重することが、普天間基地移設の解決の道である。昨年5月、鳩山首相は自民党政権時代の官僚主導案にのり、普天間基地を名護市辺野古沖に移設することで日米合意し、退陣に追い込まれた。政権交代選挙中も、政権を取った後も、海外、少なくとも県外と声高に主張したため、沖縄県民は大きな期待をし、その政治主導を見守った。ところが官僚と米国の圧力に屈してしまった。

引き継いだ菅政権は、早々と鳩山政権時の日米合意を守ると言い、沖縄県民は唖然とした。昨年11月28日、注目された沖縄知事選挙は、現職の仲井眞弘多氏が再選された。当選後、仲井眞知事は「日米共同声明は極めて遺憾、県内移設は難しい。事実上ない」と明確に述べた。この知事発言は沖縄県民の声である。この沖縄県民の思いをしっかり受け止めなくてはならない〉

日本は民主主義国だ。沖縄県民の民意に反する政策を政府が強行してはならない。鈴木氏の言っているのは当たり前のことである。

ところで、自民党政権時代、鈴木氏は普天間問題に深く関与している。

〈そもそも普天間基地移設を決断したのは1996年、橋本龍太郎首相である。前年の95年9月4日、米兵による少女暴行事件が起こり、沖縄は5万人の反米集会が開かれ、騒然としていました。普天間基地周辺には学校、住宅、病院があり、もしヘリコプターでも落ちたら大惨事になる。これを収めるには移設しかない。そこで「清水の舞台から飛び降りる」決意でモンデール駐日米大使と話を進めたのである。

そして名護市移設への環境整備に、私もそれなりの役割を果たしました。沖縄の特産品と言えばサトウキビです。国会議員になってから一貫して私は、政府保証価格を維持すべしという沖縄の代弁をして参りました。サトウキビと言えば、昭和53年9月、中川一郎農水大臣のところに超党派の市議団が陳情にこられました。そのときの団長が後に名護市長になる比嘉鉄也市議でした。役所としては陳情書だけ受け取り帰そうとしましたが、丁度私が居たので、せっかく遠い沖縄から来たのだし、今、中川大臣は居るのだからとアポイントなしで会わせてあげました。

ひとの出会いは面白いもので、97年9月11日、私が沖縄開発庁長官になり、名護市役所に挨拶に行きましたら、比嘉市長さんが「19年前、あのとき鈴木さんに世話になった。中川大臣に会わせてもらい、サトウキビも守られた。私の顔も立ち、今日があるのです」と言われ、更に「あのときの義理ははたしますよ」と話してくれました〉

そして、比嘉鉄也氏は、市長辞任と引き替えに普天間飛行場の名護市受け入れを表明したのである。そして市長選では受け入れ容認派が当選した。こうして名護市への受け入れの道筋ができた。沖縄の過重負担を軽減するために、鈴木氏は米海兵隊の実射訓練場を自分の選挙区に受け入れた。国会議員は選挙が命だ。海兵隊を受け入れることで鈴木氏は次の選挙で得票を1万票減らした。その経緯についてこう記す。

〈96年12月に、沖縄県民にとってストレスのたまるものであった米海兵隊の県道104号線越え実射訓練場を、私は自分の選挙区にある矢臼別演習場に受け入れました。これは村山首相とクリントン米大統領が本土移設で合意したのを受けてのことですが、当時、村山首相は地元・大分に日出生台演習場があり、防衛庁長官も大分県選出の衛藤征士郎さんだったため、当然、大分で最初に受け入れると思っていました。しかし、結局、地元の反対、選挙等を考え決断しませんでした。

そして橋本政権になり、首相の困った姿を見るとき、私は国益、日米関係の重要性から、自分の選挙より国家優先の決断をしたのです。これは矢臼別演習場をかかえる別海町の佐野力三町長(当時)と二人三脚で動き実現できたことで、彼には心から感謝したものです。この件に関しては、稲嶺惠一・前沖縄県知事は「沖縄の基地を自身の選挙区で受け入れると表明した、ただ一人の政治家だ」と言って下さり、嘉手納基地をかかえる宮城篤実・前町長も現職時代、「沖縄の痛みを実践してくれたのはただ一人鈴木宗男先生だ」とよく話してくれました。

97年12月には学童疎開船・対馬丸の発見に尽力し、見事沈没地点を特定し、対馬丸記念館をつくることも出来ましたし、99年4月には小渕総理の命を受け、2000年サミットの沖縄開催に、官房副長官として協力することも出来ました〉

菅首相はオバマ大統領にこう話せ

過去に名護市への普天間飛行場移設に向けて動いた鈴木氏が、今は辺野古移設に強硬に反対するのはなぜか。それは政治家は民意に従うべきだという信念を鈴木氏が持っているからだ。

〈一昨年、歴史的な政権交代をしたのですから、「アメリカには日米安保、日米同盟の柱は継承するが、個別案件、辺野古移設は暫く時間を貸してほしい」と言うべきです。沖縄の協力なくして移設は出来ないのですから。この点、当初から関わって来た私としては残念でたまりません。

駐留米軍の74%が沖縄に集中しているのは異常な負担です。(中略)私が海兵隊の実射訓練場を矢臼別に受け入れたように、普天間のヘリ訓練は本土でも出来る。矢臼別、王城寺原(宮城)、東富士(静岡)、日出生台(大分)である。菅首相はまず、可能性のある自治体に平和の重み、国益の観点からしっかりお願いすることである。(中略)アメリカの言いなりにならず、日本の立場、特に沖縄県民の声を菅首相はオバマ大統領に率直に話すべきだ。それが普天間移設解決の道である〉

筆者も鈴木氏の見解を支持する。辺野古への移設を強行すると、新基地のみならず嘉手納基地を含むすべての米軍基地が住民の敵意に囲まれ、その結果、抑止力が弱まる。沖縄の民意に反する政策によって日本国家を弱体化させてはならない。

(文/佐藤 優 取材協力/小峯隆生)

■新党大地HP【http://www.muneo.gr.jp/


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