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ビールで放射能がカットできるってホント?

[2011年04月08日]

微量ながら大気中に放射性物質が放出され、さらに高濃度の放射能汚染水まで海に排出され始めた福島第一原発の事故。しかし、いまだに政府の発表は「直ちに健康に害を及ぼすものではない」という文言を繰り返すばかり。

煮え切らない政府に国民の不安が高まるなか、ネットなどで「ビールに放射線被曝予防効果がある」という噂が広まった。

実はこの噂はデマではない。2005年8月に放射線医学総合研究所と東京理科大学の研究チームが共同で発表した論文に基づいているのだ。当時、千葉大学大学院生で研究に携わり、論文の執筆者として名を連ねる物部真奈美氏は、その効果を発見したときの状況を、こう話す。

「その前日はたまたまビールを飲まなくてはいけなくて……。翌日に採取した血液で実験したところ『あれ?』という結果が出たのがきっかけでした」

ここでいう実験とは、血液に放射線を照射し、その反応を研究するもの。普段は実験の前日に飲酒をすることはない物部氏だが、たまたまビールを飲まなくてはならない会合に出席することになってしまった。「大酒もしなかったし、6、7時間後ほど経過しているので問題ないだろう」(物部氏)といつものように実験を行なったところ、通常より血液細胞の染色体異常の数が少ないという結果が得られたという。

この結果に驚いた物部氏は後日、改めて実験を行なう。すると今度もまた、ビール飲酒前よりも飲酒後のほうが、染色体異常が約3分の2も少ないという結果が得られたのである。

「もしかしたら、本当にビールが効いているのかもしれないと思いました」(物部氏)

続くマウスによる実験では、ビール、生理食塩水、エタノール(アルコール)、ノンアルコールビールを4匹のマウスにそれぞれ与えた後、放射線を照射。その結果、やはりビールを飲んだマウスが最も長く生き延びたという。

「条件によってはビールになんらかの効果がある」と認める物部氏。ならば、「ビールを飲めば大丈夫?」と安易に思ってしまいがちだが、物部氏は「放射線はその種類や線量などによって影響が異なってきます。今の状況に対してやみくもにビールを飲んでおけばオーケーというわけではないんですよ」と注意を促す。

しかし過去にも、長崎の被爆者を診察した医師の手記『長崎原爆体験 医師の証言』や、チェルノブイリ原発事故被害者で、アルコール飲料で放射線障害が軽減された人がいるという話が報告されているのは事実。

はたしてビールで放射線カットはできるのか? 現在、日本全体を自粛ムードが覆い、飲み会を控えている人も多いはず。だが今週末は、「ビールの可能性」を信じてみんなで一杯やってみるのもいいかもしれない。

(取材/加藤ジャンプ)


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