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ソチ五輪のメダル候補。女子スキージャンプ・高梨沙羅、14歳「いつも空を飛ぶような気持ち」

[2011年04月24日]

身長151cm、中学3年生の女のコは、男子よりも高く遠くへ飛んでしまったスーパー・スキージャンパー

4月になっても、まだ雪が残る北海道上川町。高梨沙羅が、2014年ソチ冬季五輪の正式種目として女子ジャンプの採用が決定したことを知ったのは、中学校の始業式翌日の7日、目を覚ましてすぐだった。

「またひとつ大きな目標ができた感じで、ワクワクするような気持ち。先輩方が今まで頑張って女子ジャンプを引っ張ってきてくれたおかげだと思います。頑張って代表に選ばれたいです」

しっかりした口調で話す彼女がジャンプを始めたのは小学2年のとき。父の寛也さんは、子供の頃に1歳下の原田雅彦と競うなど、大学まで現役を続けたジャンプ選手。その寛也さんが12年前に復活させた上川ジャンプ少年団の練習を見て「私もやりたい」と言い出したのだ。

「最初は(先に始めていた)バレエの方が面白かったけど、楽しそうだなと思って。初めて飛んだ時は怖かったです。でも、すぐに楽しくなってハマりました。小学3年になってからは少し大きな台を飛ぶようになって、浮力を受けて飛ぶ感じが鳥になったみたいで気持ちよかったんです。転んでも骨折など大きなケガをしないのは、バレエをやっていて柔軟性があるからじゃないかな」

寛也さんは、当時の彼女を「同級生たちと比べても、踏み切り動作は最初から上手かった」と振り返る。

高梨はすぐに小学生の大会で勝ち始めた。中学生になった2009年からは、宮の森や大倉山のジャンプ台で行なわれるシニアの大会にも出場するようになった。

「ジャンプの道を切り開いてきた女子の先輩たちの背中をずっと追いかけてきたので、そういう人たちと戦える場所に来れたのがすごくうれしかった」

高梨は、同年10月の伊藤杯サマーファイナルで優勝。世界ジュニアの代表となり、コンチネンタル杯にも出場し、2010年3月の日本大会では初の表彰台となる3位。さらに8月にもコンチネンタル杯を転戦し、日本人最高の総合4位と、世界トップクラスへと駆け上がった。

そんな高梨が、より多くの人から注目を集めたのは、今年1月10日のHBC杯での141mの大ジャンプだ。

ジャンプの飛距離は助走スピードなどの条件によるが、ヒルサイズを超えるとランディングバーン(着地面)の角度が緩くなり、選手からはほぼ平坦に見えるほどになる。そこまで距離を伸ばせる勇気は男子でも並大抵のものではない。それでも彼女は「あの時は高さもスピードもあったので、空を飛んでいるみたいで気持ちよかった」と楽しげに振り返る。

女子ジャンプ日本代表チームの渡瀬弥太郎コーチは高梨をこう評価する。

「基本がしっかりしていて、空中へチャレンジしていく感覚的なものが非常に優れている」

助走でしっかりとスキーに乗れていて、体は小さくても常に最高速度を出す。その技術で体重の軽さを最大限に利用して飛距離を伸ばすのだ。

「去年の夏はあそこまで順位が上がるとは思っていなかったから、すごいビックリしたし、うれしかったです。でも、外国の選手たちは1本目で失敗しても、2本目で挽回できる精神力の強さを持っている。私もあんなふうに強くなりたいです」

今年初めにそう話していた高梨だが、その後、世界ジュニア、コンチネンタル杯、そして、世界選手権と転戦した長い遠征で、さらなる成長を遂げた。

コンチネンタル杯は6戦に出場して1位2回、2位2回。濃霧で前がまったく見えない悪条件だった世界選手権では6位に終わったが、それは試合前の公式練習と試技の計8本中7本で飛距離トップになって、メダルを期待されるプレッシャーを感じてのもの。メダルには手が届かなかったものの、力を世界に見せつけた。

「昨シーズンはすごくいい経験をさせて頂いて、勉強になることがすごく多かったです。その中でも一番記憶に残っているのは世界選手権でした。あんなに何も見えない霧の中でジャンプをするのは初めてだったけど、あれを経験できたから、今度そういう条件になったときでも慌てずに飛べると思います。それに大会へ行くまでは、あそこまで戦えるとは思っていなかったから……。本当に楽しい4日間でした」

日本に帰国してからも「メダルを獲れなかった悔しさより、これまでにない経験をしたことの方がうれしそうだった」(母の千景さん)という。

「やっぱり、どんな状況の中でも、自分のジャンプをするのが大事。世界選手権みたいにトレーニングのときは快晴でいいコンディションでも、試合では深い霧になることもある。そういうときでもいいジャンプができるのが強い選手だと思いました」

女子ジャンプのソチ五輪正式採用が決まり、高梨はこれから「メダル候補」と注目される存在になる。だが、本人はあまり気にするつもりはないという。

「そんなに急がないで、五輪(本番)までに自分のジャンプのレベルを上げていければいい。まだ精神面でも技術面でも足りないところがあるし、全体的にもまだまだ完成したジャンプじゃないので、今年の夏からそれに取り組んでいきたいと思います」

来季からは女子もW杯が始まる。そこでの目標は常に10番以内に入ること。表彰台にも上りたい。そんな高梨だが、ジャンプより先に始めたバレエへの想いものぞかせた。

「バレエも続けて、発表会にも出られるときは出たいです」

――目標は〝踊るジャンパー〟? それとも〝空飛ぶバレリーナ〟?

そう質問すると「どっちなんですかね。でも、どっちでもいいです」とほほえんだ。まだ14歳。ソチ五輪のメダル候補の中学3年生にはやりたいことがたくさんある。

(撮影/千葉茂 取材・文/折山淑美)

高梨沙羅(たかなし・さら)
1996年生まれ。14歳。北海道上川町出身。小学2年からジャンプを始め、今年1月のHBC杯では大倉山の女子最長記録となる141mで優勝。続く2月のコンチネンタル杯で初優勝、世界選手権で日本女子最高の6位入賞。身長151㎝。趣味はバレエ、ダンス。


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