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「手に職があれば安心」も今は昔。技術職の仕事単価は10年前の約半額に

[2011年11月29日]

現在、就職市場では「正社員志向」が高まっている。だが、たとえ正社員で採用されたとしても、この不況のご時世だとリストラに遭ったり、または会社がいつ倒産してもおかしくない。そんなときに心強いのが「手に職」を持っている技術系労働者だ。だが彼らの仕事も、軒並み単価が下がる傾向にあるという。

かつては安定の代名詞だった「国家資格」保持者の建築設計士の42歳男性は、こう憤(いきどお)る。

「こんなギャラじゃ、とてもじゃないけどやってらんねえ! 工務店の依頼を受けて戸建住宅の設計図面を作ってるんだけど、10年前じゃ売出し価格の10%が取り分だったのに、今じゃたったの3%だぞ。1000万円の戸建てなら、ギャラが100万円から30万円に減ったってことになる。生活苦で辞めていった同業者もたくさん見てきたよ。俺たちの技術を安く見んじゃねえ!! 理由? そりゃ仕事が減って競争がきつくなったから……。いや、違うな。俺たちが苦しんでる分、間違いなく誰かが甘い汁吸ってんだろ!」

また、テレビカメラマンの36歳男性も「仕事量は減少傾向」と苦しい現状をこう明かす。

「僕らの仕事は1回のロケをワンチェーンと言って、かつてはカメラマン、音声、アシスタントの3名体制で平均受注金額が13万円ぐらいだった。それが、今じゃカメラマンと音声の2名になり、受注金額も8~10万円。これだけ聞くと『ひとり当たりのギャラは変わんないじゃん』と思うかもしれないけど、実は、以前はワンチェーンで1本撮りだったのが、今は3本撮りも当たり前。しかもカメラの性能が良くなっちゃったから、制作会社のディレクターがハンディカメラでロケに行くことも多く、仕事の本数自体もかなり減っちゃった。もうやってらんない!」

スチールカメラマンの37歳男性は、「全仕事平均で単価が4割減」だと話す。高収入が期待できた広告写真のギャラでさえ「10年前と比べたら、今の単価は50~70%減。リーマン・ショック後に1段下がり、最近もう一段下がった」とのこと。

一方で、仕事の単価が減少したのは、「景気がいいときにボッタクリ過ぎたから」という声もある。WEBデザイナーの38歳男性は2000年代前半の「ITバブル」に、さまざまな企業がクライアントの無知を逆手にとって法外な料金を請求してたとして、事情を次のように話す。

「昔は発注する企業側がネットのことをよくわかっていなくて、こちらの言い値でけっこう通った。ひどい制作会社だと、バナーをちょっと右にズラすだけで『5万円です』とか(笑)。確かに、単価は下がったけど、それは一般の人たちもどんどんネットに詳しくなって、ボッタクリの実態がバレたということだと思う。本当に大変なのに『このぐらい簡単でしょ?』って言ってくるクライアントが増えたのは困ったもんですが……。」

技術職の仕事単価が減少した理由はさまざまな背景があるようだが、少なくとも現在は「手に職」があっても安心できる時代ではないようだ。

(取材/頓所直人、興山英雄、小山田裕哉、河合桃子)

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