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月収20万円なら食費3万2000円。TPPで食費は収入の16%まで下がる?

[2012年02月09日]

現地時間7日、TPP交渉参加へ向けてのアメリカとの事前協議が米・ワシントンで開催された。日本は、関税撤廃による国内産業への影響が懸念される自動車、保険、農産品の業界から集めた意見を紹介。アメリカ側は日本の参加については未定とし、今後も協議は続いていく。

TPP参加による関税と非関税障壁の撤廃で、日本人の生活に大きな変化を与えると予想されるのが「食」だ。厳しい国際競争にさらされ、国内の農家が大打撃を受けるのは間違いないが、一方で「食費」が下落する可能性は高い。

コメと並び、日本の食生活を担っているにも関わらず、国内消費量の9割を輸入に頼っている小麦。はたしてTPPでどれほど安くなるのか。大手製粉会社に勤務するA氏が試算する。

「輸入小麦のほとんどは、『主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律』に基づいて政府が外国から購入し、それを製粉会社に卸売りしています。これには関税はかかりませんが、代わりに国内生産者への補助金を補填するために、製粉会社は1㎏当たり17円の“マークアップ”という上乗せ金を徴収されます。TPPの趣旨を考えれば、発効後には関税と同様にこのマークアップも撤廃されるはず。小麦の政府売渡価格は年に2回改定され、現在は1t 当たり5万7720円。このうち1万7000円がマークアップなので、TPP発効後には1t当たり4万720円と、約30%も安くなります」

1kg当たりで計算すると約40円。小麦粉から作られる麺類などは、大幅に値下げされることが予想される。

食品業界に詳しいジャーナリストの吾妻博勝氏は、「TPPによって、国産の食材にこだわらない外食チェーン――つまり、ほとんどの大手外食チェーンのメニュー価格は相当安くなるでしょう」とし、TPP後の日本の食生活をこう予想する。

「おそらく近い将来、自炊するよりも外食で済ませたほうが安くなる時代がやってくるでしょうね。今の日本は収入に占める食費の割合が高いといわれている一方、アメリカでは食費は収入のわずか16%ほどが平均値。いずれ、このアメリカ並みの低い水準になるんじゃないですか。月収20万円なら食費は3万2000円。まあ、その代わりに日本の農家が潰れますが……」

牛丼業界は、安い牛肉とコメが入ってくれば今よりも激しい値下げ戦争が繰り広げられる。小麦が安くなればラーメン、うどん、パスタも同様だ。外食なら1食200円という生活と引き換えに、打撃を受ける日本の農業。日本政府はどこまで強気で交渉を進められるか。

(取材/頓所直人、興山英雄)


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