週プレNEWS TOP 連載コラム "本"人襲撃 「記者クラブ制度」「リーク依存体質」「調査報道の軽視」……。新聞業界のガラパゴス化を変えるには、経営危機に陥るしかない!

連載コラム

「記者クラブ制度」「リーク依存体質」「調査報道の軽視」……。新聞業界のガラパゴス化を変えるには、経営危機に陥るしかない!

[2012年02月14日]

世界各国で新聞記者としての取材経験がある牧野氏が考えるジャーナリズム論とは?

昨年の原発事故の際、政府はSPEEDI(スピーディ)による放射性物質拡散予測を発表せず、多くの福島県民を被曝させた。あるいは、文科省が発表する放射線量データは地上数十mの高さで計測されており、人体への影響を考える上では不正確極まりないものだった。

これらは新聞記者の奮闘によって発覚したわけではない。前者は政府発表、後者は『週刊現代』のスクープだ。コロンビア大学大学院のジャーナリズムスクールで学び、海外での豊富な取材経験を活かし『官報複合体 権力と一体化する新聞の大罪』を執筆した牧野洋氏。彼は「日本の新聞は発表に頼りすぎていて、権力の監視が十分にできていない」と主張する。

―それでは、牧野さんが考える新聞本来のありようとは、どのようなものでしょうか?

震災や原発事故の報道は、政府や東電の発表をベースにした記事で新聞紙面が埋まることが多かったように思います。国民の間に、権力側が正しい情報を伝えていないのではないか、という疑念が募っていたにもかかわらず、それらの発表で紙面を埋め尽くしていたのです。

―確かに、どの新聞も1面の内容は大差ありませんでした。

記者クラブ発の発表ネタで紙面を作っているからです。しかし、誰が書いても同じになる発表こそ、通信社が配信する記事を使ってもよいはず。現にアメリカではそうなっています。震災のとき、日本の新聞社は自社の記者を記者クラブから離脱させてもよかった。その代わり独自ネタに専念させれば、なんらかの成果が出せた可能性があります。それこそ、SPEEDIのデータ入手もできたかもしれない。

しかし、日本では権力者の動きを誰よりも早く克明に記録することが報道だと思われがちです。だから、あらゆる発表を追わなければならず、記者はすごく忙しくなってしまう。時間と手間のかかる調査報道や深い分析ができなくなるのです。

―権力側と癒着するという問題点もありますね。

そうです。権力者に食い込むと上司からは評価されるし、記者としても気持ちがいい。癒着型の報道は放っておくと増えてしまいます。しかし、新聞は本来、権力の監視のためにあるはず。権力側がいやがるような報道にも力を入れなければなりませんね。

―どうすれば調査報道がメインになるのでしょうか?

一度、業界が危機に直面しないと変わらないかもしれません。ネットメディアが台頭して購読者が減って経営難になれば、意識が変わっていくかもしれない。他社との差別化をするために、調査報道を厚くすることも考えられます。

―経営難になると、真っ先にお金のかかる調査報道が削られてしまうのでは?

日本以上に経営難に陥っているアメリカでは、調査報道をNPOにアウトソースする新聞社も出てきています。日本では"ハゲタカ"と呼ばれるような買収ファンドの支援を受けることに成功しているNPOもあります。お金がなくても、調査報道を絶やさない方法はあるのです。

―そうすると、記者や経営陣に調査報道が大切だという意識があるかどうか、が問題になってきますね。

そのためには、まず新聞協会賞が変わる必要があると思います。新聞協会賞は「紀宮さま婚約内定」スクープのような、いずれ発表されるようなネタにも与えられています。

しかしアメリカのピュリツァー賞は、「メディアが動かなければ永遠に明るみに出なかった報道」に授与されます。例えば2011年の受賞は、人口4万人足らずの市で副市長が高額報酬を得ていた、という報道でした。

"発表先行型"ではなく、調査報道による"掘り起こし型"が評価されるようになれば、日本の記者の意識も変わっていくはずです。

牧野洋(まきの・よう)
1960年生まれ。カリフォルニア在住のジャーナリスト。慶應義塾大学卒業後、日本経済新聞入社。チューリヒ支局長、ニューヨーク駐在キャップ、『日経ビジネス』編集委員、本社編集委員などを経て、2007年に独立

(撮影・井上太郎)

『官報複合体権力と一体化する新聞の大罪』講談社 1680円

日本の新聞の問題点は「記者クラブ制度」「リーク依存体質」「匿名の跋扈」「調査報道の軽視」―。アメリカの事例から、日本がいかに報道でもガラパゴス化しているかを明らかにする。元日経記者による、会社員時代は書けなかったジャーナリズム論


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