週プレNEWS TOP 連載コラム セルジオ越後のサッカー「一蹴両断!」 セルジオ越後の一蹴両断! 第252回「アイスホッケー『H.C.栃木日光アイスバックス』運営に携わり、あらためて感じたのは、サッカーは恵まれているなということ」

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セルジオ越後の一蹴両断! 第252回「アイスホッケー『H.C.栃木日光アイスバックス』運営に携わり、あらためて感じたのは、サッカーは恵まれているなということ」

[2012年04月05日]

実際にプロクラブの運営に携わってJリーグのよさと課題を痛感した

プロスポーツクラブの運営が、これほどまでに大変なことだとは思わなかったよ。

先日、僕がシニアディレクターを務めるアイスホッケーのH.C.栃木日光アイスバックスがアジアリーグで準優勝した。プレーオフのファイナル進出はチーム史上初。それだけに1勝2敗で初めて迎えたホーム戦は、会場の雰囲気も今までにないような興奮状態。

結局は延長戦で負けてしまったんだけど、地元・栃木での反響は大きかったし、普段は数の少ない報道陣もたくさん取材に来てくれて、なかには「久しぶりに鳥肌が立った」「年配のファンがあんなに大きな声で応援して、跳び上がって喜ぶ姿はほかで見たことない。地域密着がうまくいっている証拠」というホメ言葉ももらった。ここまでの道のりを考えると、僕自身も感慨深かったね。

僕がアイスバックスの運営に関わるようになったのは2006年から。「クラブの存続が危ないから引き受けてくれ」と頼まれて始めたわけだけど、そこからは苦労の連続だった。実際、僕がいる間にも、クラブは何度も"危篤状態"になったからね。

アイスバックスは親会社を持たない市民クラブ。財政面は厳しく、今でも予算規模は企業チームの半分以下だ。当初は、好選手を獲得できないどころか、アウェー戦の遠征費も足りないし、選手への給料の未払い、遅配も頻発していた。チームがそんな状況ではなかなかスポンサーもついてくれない。

練習環境も企業チームとは雲泥の差。名門の王子製紙などは専用のリンクやトレーニングジムを持っている。一方、僕らは一般のリンクを借りるので、夜11時から練習することも当たり前にあった。栄養面のフォローもない。だから、選手たちの間では「アイスバックスにだけは行きたくない」と言われていたんだ。

周囲からは「選手にプロ意識を植えつけてくれ」とよく言われたけど、選手からすれば、「約束した給料も払わないくせに何がプロ意識だ。まず払うものを払ってからモノを言え」となって当然。そこは本当に苦しかった。

そうした問題をひとつひとつクリアしてきたわけだけど、実際にプロスポーツクラブの運営に携わり、あらためて感じたのは、サッカーは恵まれているなということ。例えば、アイスホッケーでは、日本代表の遠征費は選手の所属するクラブが自腹で払っている。同行する役員はビジネスクラスを使っているのにね。ふざけた話だけど、それが業界の"常識"で、誰も変えようとせず、疑問にすら感じていない。Jリーグ以前の日本サッカーと同じ。Jリーグ誕生の意義はそれだけ大きかった。

ただ、その一方で、有力チームが親会社からもらう年間予算に依存しているという構造は、Jリーグもアイスホッケーと同じ。このご時世、大きな親会社がいても予算増は期待できないし、一度削られた予算はなかなか元には戻らない。そうしたなかで、どうやってチームを強化し、さらにリーグ全体の盛り上がり、発展につなげるのか。自分のチームのことだけでなく、業界全体のことを考える。それができなければ共倒れになってしまう。両競技に共通する課題といえるだろう。

アイスバックスも準優勝したとはいえ、まだ企業チームに比べて選手層は薄いし、来季はさらに攻めの運営をして、優勝を目指して頑張りたいね。

(構成/渡辺達也)

■セルジオ越後
1945年生まれ。72年の来日以降、指導者、解説者として活躍。


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