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反原発デモで「国と電力会社が悪い」と叫ぶだけでは世論は動かない

[2012年06月26日]

6月22日、首相官邸前で大飯(おおい)原発再稼働に反対する大規模デモが行なわれた。主催者発表によると約4万5000人、警視庁発表では約1万1000人が参加。約2時間に渡って再稼働反対を訴えた。

デモに参加する、しないに関わらず、多くの国民が政府のやり方に疑問を持っていることは間違いない。経済産業省OBで、エネルギー政策に詳しい慶應義塾大学大学院教授の岸博幸氏はこう語る。

「原発の安全性に不安を持つ国民に対して、政府は説得する誠意を見せず、最初から再稼働ありきで物事を進めた。そもそも、今夏の電力需給が逼迫(ひっぱく)することは昨年からわかっていたことです。それなのに、再稼働の根拠となる新安全基準は、4月にわずか3日間の突貫工事で作った暫定的なもの。そんなものをクリアしたって誰も納得できるわけがありません。半ば脅すような形で、“時間切れ”を盾にして再稼働を決めたのはあまりにも拙速(せっそく)ですよ」

一方、「一部の原発の、当面の再稼働はありかなしか」については、各種の世論調査を見ても、それなりに意見が割れている。しかし、聞こえてくるのは「当然、再稼働だろ」という声と、「全原発を即時廃炉に! 再稼働は絶対に許さない!」という声――、つまり、両極端の「議論の余地なし」という意見ばかりだ。

こうした現状について、事故前から福島原発周辺地域のフィールドワークを続け、原発に依存する現代社会を描いた『「フクシマ」論』(青土社)の著者で、社会学者の開沼博氏は次のように語る。

「高度な精密機械のように複雑で、部品が一個取れてしまったら全部が止まったり、あちこちに弊害が出てしまうのが現代の社会システム。原発の問題にしても、それなしではやっていけないような社会になってしまっているわけで、“正義と悪”といった単純な二項対立的な枠組みではとらえられないものなんです」

背景には、原発がなければ生活が成り立たない人々の存在がある。

「例えば、『原発を止めろ』『ここは汚染されている』とただ叫んだところで、貧しい原発立地地域に住む人たち、これまで原発を食い扶持(ぶち)にしてなんとか生きてきた人たちをいじめるような構図にしかならない。代替案もないまま原発を忌避(きひ)し、『国と電力会社が悪い』と言うばかりの人たちとは議論のしようがないんです」(開沼氏)

もちろんデモをやるのは自由だし、やり方次第では世論を喚起することも可能かもしれない。しかし開沼氏は、今の反原発デモにはその力はないと指摘する。

「結局、反原発派の議論も答えありきなんです。『原発は悪』という結論、宗教的ともいえる“信心”を先に決めて、それに合う証拠資料を無理やりにでも集めていく。僕はその方法論を“大阪地検特捜部型”と呼んでいますが、これでは彼らが非難する原子力ムラがやってきた安全神話の構築と何も変わりません」

(取材/コバタカヒト)

■週刊プレイボーイ28号『このままでは「脱原発」が“自壊”する!』より


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