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素朴な疑問。なぜ、いま、景気が悪いときに消費税を増税するのか?

[2012年10月15日]

主要税収の推移。経済への悪影響を最小限に増税するには消費税が最適と政府は言うが……

2012年2月17日、「社会保障・税一体改革大綱」が閣議で決定。社会保障に充てる財源を安定的に確保すると同時に、財政を健全化するためには、税制を抜本的に改革せねばならず、消費税率を15年までに段階的に10%まで引き上げる方針が示された。そして8月、国会で消費増税を柱とする関連法が可決、成立した。

政府が「増税が必要だ」とする日本のいまの財政状況は、ホントのところどうなのか? なぜ、オレたちビンボー人にも負担の大きい消費税を増税するのか? 政府の叫ぶ“大義名分”を、もう一度検証してみたい。

バブル崩壊後の90年代以降、税収と歳出の差は“ワニの口”のように大きく開き続け、その穴埋めとして毎年の国債の発行額も増え続ける。こうした状況を政府、特に財務省は憂慮し、財政再建のためには増税が必要と判断した。

だが、日本の家計金融資産は1500兆円にも上り、実は国債の90%以上が国内で保有されていることから、財政状況はそれほど深刻ではないという見方もある。

増税が必要とされるもうひとつの理由として、社会保障の維持・拡充も挙げられている。

日本は人類史上例を見ない猛スピードで少子高齢化が進み、社会保険料収入は横ばいなのに、社会保障にかかる費用は増大するばかり。現在の高齢者たちは払ってきた保険料を大きく超える金額の年金を受け取ることができるが、若い世代や、まだ生まれていない将来世代は払い続ける保険料より受け取れる金額が下回って損をすることになる。

将来世代に負担を先送りすることなく年金制度を維持し、今後さらに、子育て支援の強化、雇用や貧困・格差の問題への対応、医療・介護の安心確保などを強化していこうとすれば、「増税もやむなし」と政府は言うのだが……。

少子高齢化によって、日本は高齢者1人をそれより少ない人数の現役世代で支えなくてはならなくなる。そのため、所得税の増税では働いている現役への負担が重くなってしまう。だが、消費税ならばリタイアして所得のなくなった高齢者も含め、広く物やサービスに課税されるため、世代による不公平が解消される。

また、景気が変動しても食料など生活のための消費はそれほど変わらないと考えられ、所得に対して課税する所得税や法人税よりも消費税のほうが安定した税収が見込める。

さらに、累進性を強化して、高額所得者の税率を高くすると、彼らの勤労意欲が薄れ、海外に移住される可能性もある。法人税についても、世界的に税率を引き下げる傾向にあるなか、日本だけが増税すれば国内企業の競争力が低下し、海外への移転につながると懸念される。

ということで、経済への悪影響を最小限に増税するには消費税が最適と政府は言うのだが……?

(取材・文/宮崎俊哉 山田美恵 中島大輔)

■週刊プレイボーイ44号「年収250万円クラスを襲う消費増税 地獄のシミュレーション」より


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