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橋本治の相変わらず役に立たない話 第12回「色気について」

[2013年04月13日]

こないだ「やっぱ壇蜜はすごいね」と言ったら、そばにいた男Aは「やっぱり!」と言い、同じく男Bは「なんで?」と言った。「なんで?」と言ったのは、「すごいよね」の後に私が「女究極形だもんね」と言ったせいかもしれない。

私はいい年だし、一緒にいたのもいい年の男だから、あんまり若い人には関係ないようなところで「すごいね」と言ってるんですけど、私の言う「すごい」は、いたって単純な「色気がある」ってところですね。

今や「色気」ってもんがよく分かんなくなっちゃってると思いますが、私の言う「色気」というのは譲歩能力のことです。

「色気があるということは譲歩能力があるということだ」と昔書いて、女性の担当編集者から「そうですか?」と疑問を呈されたことがあった。それで私は、「色気を性的魅力というようなものと混同してない?」なんてことを言ったんだけど、普通は混同してるでしょうね。

むずかしい話のようですが、たとえば「壇蜜に迫られたらどうする?」という仮定を考えてみましょう。そういうことを考えると、その仮定そのものがありえないということは分かります。というのは、壇蜜が「迫る女」ではなくて、「一歩引いて待ち受ける女」だからですね。実際はいざ知らず、それが壇蜜のキャラだから。

ヴァラエティ番組に出た彼女は腰を少しひねるようにして座る。そうすると、どちらかの肩が後ろに下がるようになる。これが「来て」の待ち受けポーズですね。「来て」系の女は自分から前に出ない。一歩か半歩下がって、男との間に微妙な距離感を作り出す。それが「来て」と言っているような微妙な隔たりだから、男は思わずその一歩を踏み出してしまう。つまり、「色気」というのは、「相手が思わず一歩踏み出して手を伸ばしたくなってしまうようなもの」で、「さァ、かかって来なさいよ」的なセックスアピールとは違うということですね。


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