週プレNEWS TOP ニュース 社会 奨学金の未返還者が増え続ける理由とは?

奨学金の未返還者が増え続ける理由とは?

[2013年05月16日]

第一種奨学金(無利子)の貸与人数はここ10年において大きな変化はないが、第二種奨学金(有利子)は約2倍以上に増えている。貸与額に関しても、平成14年度は約3000億円だったが平成24年度には約8500億円まで膨れ上がった(日本学生支援機構の場合)

前途有望な若者の修学支援を目的とする「奨学金制度」。これが今、逆に若者を“追い込む”原因になっている。社会人をスタートしたのと同時に、奨学金という多額の“借金返済”に苦しまなければならない人が急増しているからだ。

日本の場合、ほとんどの奨学金は「貸与型」のもの。つまり、実質的には借金だ。そのため利用者は、卒業後に返済しなければならない。日本の奨学金事業で最大の規模を誇る「日本学生支援機構」(以下、支援機構)によると、昨年の3月の時点で、奨学金の未返還者は全国で約33万1000人、未返還額は過去最大の876億円に上る。10年前に比べ、約2.5倍にも膨れ上がっているのだ。

もちろん、借りた金は返さなければならない。しかし、一般的な家庭の収入が下落し続け、その一方で日本の大学の学費は高騰し続けているため、奨学金を利用しなければ大学に通えない学生が年々増加しているという事情もある。

都内の私立女子大学4年生の黒川いずみさん(仮名・21歳)は、家庭の事情で入学時から支援機構の奨学金を利用している。

「年々下がっていく親の収入では大学に進学することはできなかったのですが、あきらめられませんでした。奨学金はそんな私にとって頼みの綱。周りの同級生にも、奨学金を申し込むコも多かったので、ごく自然に利用することを決めました」

大学2年生の秋、両親は自己破産。ますます奨学金に頼らざるを得なくなってしまった。結果、来年の春に卒業する際の黒川さんの“ローン残高”は約400万円。利子がつくタイプの奨学金であったため、仮に返済期間を20年と計算した場合、合計の返済額は700万円にも達するという。

両親とともに埼玉県の実家で暮らしている大学非常勤講師の横山貴司さん(仮名・34歳)も奨学金返済の悩みを抱えているひとりだ。彼は都内の私立大学で4年間政治学を学んだ後、大学院に進学することを決意。以降、修士課程の2年間で204万円、博士課程からは3年間で435万6000円を借り入れたという。

しかし、現在の仕事は週に1回の非常勤講師だけ。非常勤での収入は、年収にしてわずか10万円ほど。専任講師にならなければ、奨学金の返済どころか自活すらできない。横山さんは言う。

「僕が大学院に入った10年前は、修士課程を終えれば、専任講師はともかく、非常勤講師でも生活はできるぐらいの仕事はあったものです。しかし、今や大学でそんなポストはありません。このままでは、必死で学び続けたのに結果として“借金”だけが残ることになる」

支援機構は年収300万円未満の利用者に対して返済猶予期間を与えている。2009年から2010年に6ヵ月以上の滞納者を調査したところ、年収300万円未満が87.5%で、その半分近くが100万円未満だったという。つまり、返したくても返せない人が大半というのが実態だ。

若者を取り巻く、不安定な雇用環境が奨学金制度の根幹をも揺るがしている。

(取材・文/木場隆仁)

■週刊プレイボーイ21号「このままでは『奨学金制度』が消滅する!!」より


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