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リニアモーターカー実験線の周辺で多発する“水枯れ”。その因果関係は?

[2013年09月10日]

笛吹市を流れる一級河川の天川。2009年に水が枯れ始め、JR東海はトンネル工事で出た水を川に放流する代替案を取っている。奥はリニアが通るトンネル

8月29日、リニア中央新幹線の実験走行が2年ぶりに再開された。

実験線が18.4kmから42.8kmに延伸され、新型車両も導入。山梨県都留市にあるJR東海のリニア山梨実験センターには100人を超えるマスコミが集まり、出発式の様子はメディアに大々的に取り上げられた。

完成すれば、最高時速500キロで東京~名古屋を40分、東京~大阪を67分で結ぶ夢の高速新幹線(それぞれ2027年と45年の開通予定)。実験走行再開が祝賀ムードに包まれるのも当然といえるが、その一方で、実験線の周辺では“水枯れ”という深刻な環境問題が発生している。

水枯れとは文字通り、自然の水源が枯渇してしまうこと。初めて報告されたのは、99年の大月市猿橋町朝日小沢地区。住民の簡易水道の水源である沢が枯れた。実験線の延伸工事が08年に始まると、翌年、笛吹市御坂町の水源である一級河川の天川(てがわ)が、さらに11年夏には上野原市秋山の無生野地区の棚の入沢が枯れた。

この無生野地区の棚の入沢には、11年まで尺(約30cm)サイズのイワナとヤマメが泳いでいたという。だが、今年5月には乾いた川底の砂を晒(さら)していた。地元住民の有馬孔志さんは「去年なんて、魚の死骸がゴロゴロしていました」とやるせなさそうに語る。

こうした水枯れ問題は、実はリニアに限らず、どんなトンネル工事でも水脈を断ち切れば必ず起きるもの。だが、リニア計画の特殊性は、東京~大阪間約438kmの8割以上でトンネルを掘る。つまり、連続した広範囲での水枯れが予想されるのだ。

行政は、こうした実態を把握しているのか。前述の一級河川、天川を管轄する笛吹市建設部土木課は「(報道された以外の場所でも)簡易水道の水源も枯渇しました。個人宅の井戸も干上がったとの電話も数十件ありました」と認めている。しかし、リニア工事による影響については……。

「すべてそうとは断定できません。実際にJRグループの鉄道建設を行なうのは、独立行政法人『鉄道建設・運輸施設整備支援機構』(以下、機構)ですが、機構は、天川については『帯水層近くを掘った』と因果関係を認めています。河川や集落の簡易水道のような公的水源については、簡易水道のタンクに代わりの水を補給するなどの対応を取っています」(笛吹市建設部土木課)

水枯れだけでなく、リニア中央新幹線には、周辺地域とのさまざまな問題が懸念されている。トンネル工事で発生する大量の残土、騒音、振動、電磁波。これらは対策次第では克服できる可能性はある。

だが、水枯れは現在進行形。JR東海は各地での住民説明会において「水源を保全する工法を施行する」と説明しているが、すでに発生している以上、「あり得ない話だ」と憤(いきどお)る人は多い。

(取材・撮影/樫田秀樹)

■週刊プレイボーイ38号「リニア新幹線が猛スピードで環境破壊している!?」より


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