「橋下・維新」に秋風が吹いている。原因は、言わずと知れた先の堺市長選での手痛い敗北にある。
橋下徹共同代表(大阪市長)率いる日本維新の会、その政策の“一丁目一番地”ともいえる大阪都構想は、大阪府と政令指定都市である大阪市と堺市を再編してひとつに統合するというもの。
ところが、堺市の市民は大阪都構想に反対する現職市長の竹山修身(おさみ)氏を熱烈支持。維新候補の西林克敏氏は惨敗してしまった。
全国紙の大阪府政担当記者がこう語る。
「この敗北で大阪都構想に赤ランプがともってしまった。都構想は維新にとってレーゾンデートル(存在理由)に関わる政策。その実現が危うくなったのだから、橋下・維新は今、まさしく存続の危機にあると言うべきでしょう」
維新にとってショックなのは、その負け方だ。
「維新の公認候補が大阪の首長選挙で負けるのは初めて。しかも、夜8時の投票締め切りと同時に、対立候補の当確が打たれるほどの惨敗でした。敗因は無党派層にそっぽを向かれたこと。無党派層の約65%が竹山候補に投票したのに対し、西林候補の得票はその半分程度でした。維新の強みはふわっとした民意、つまり無党派層から圧倒的な支持を得ていたこと。2週間の選挙期間中、橋下氏が10日間も堺市にへばりついて遊説したにもかかわらず、その無党派層を取り込めず、負けてしまった。維新どころか、橋下政治の賞味期限が終わりつつあると言えます」(大阪府政担当記者)
この敗北に、橋下氏は「大阪市議会に新たな大阪都の区割り案などを承認してもらい、来年秋の住民投票にかけ、大阪市民の審判を仰いだ上で、大阪都構想を実現させる」と発言、巻き返しへの意欲を見せている。
だが、地元紙の政治担当記者はこう首を振る。
「橋下氏は当初、大阪都が実現した統合経済効果を4000億円と話していましたが、法定協議会に提出された維新側の資料では最大でも数百億円止まり。府自民党も『特別区の人件費だけで、今後20年間で1690億円増える』との試算を出しており、都構想を住民投票にかけるどころか、市議会で否決される可能性もある」