昨年12月6日、秘密保護法が国会で成立したその前日、日本のカジノを合法化する「カジノ関連法案」が衆議院に提出された。

カジノ業界の話題を扱う専門誌『カジノジャパン』編集長の稲葉昌司氏がこう話す。

「秘密保護法案の審議でもめにもめていた参院に国民の注目が集まっているなか、実は自民党と日本維新の会と生活の党が“こっそり”と衆院に提出していたのです」

これまで何度も浮かんでは消えてきた日本での“カジノ解禁”。

「超党派でつくるカジノ議連が誕生してから10年以上がたちますが、政権が自民党に代わってから一気に動きだしました。昨年、カジノ議連の新会長に自民党の細田博之幹事長代行が就任したのですが、それは『自分の政権のときにIR法(カジノ関連法)を実現させたい』という安倍首相直々のミッションを受けてのこと。早ければ1月下旬に召集される通常国会成立するでしょう」(稲葉氏)

それを前提とすれば、カジノの建設地、運営主体、換金方法など具体的な法整備が進められ、最短では「2015年度中にも巨大カジノの建設がスタートする」(稲葉氏)とのこと。

誘致合戦も活発になってきた。

「法案によるとカジノ設置は『国内で10施設までOK』とされているのですが、現時点で誘致を表明しているのは東京、沖縄、大阪、仙台、小樽など。『ハウステンボス』(長崎県)や『シーガイア』(宮崎県)への誘致を掲げる構想もあります」(稲葉氏)

なかでも、ラスベガスばりの巨大カジノの建設予定地となりそうなのが東京・台場なのだという。

「東京五輪の開催地であることに加え、フジテレビ、三井不動産、鹿島建設などが参画する、お台場へのカジノ誘致を構想に入れた共同プロジェクトがすでに動きだしています」(稲葉氏)

さらにこんな話もある。

「屋上プールで知られる、シンガポールのカジノ併設ホテル『マリーナベイ・サンズ』のCEOが昨年2月に来日し、業界関係者向けにカジノに関するフォーラムを行ないました。“日本版カジノはどういう形態になるのか”というテーマだったのですが、そのとき会場のスクリーンに映し出されたのが、お台場に建てられた巨大カジノのイメージ図だったのです。

関係者の話では、10枚ほどあったそのイメージ図の作製はアメリカのウォルト・ディズニー社に数千万円で発注したとのこと。水面下では、すでに具体的な話が進んでいると考えても不思議ではありません」(稲葉氏)

お台場での巨大カジノ誕生が現実味を帯びてきた。ただ、法整備や建設がスムーズに進んだとしても、「カジノのオープンは東京五輪にぎりぎり間に合うかどうか……」(稲葉氏)とのこと。はたして6年後、東京はどう変化しているのか?

(取材/興山英雄)

■週刊プレイボーイ3・4合併号「総力特集12ページ 一攫千金プロジェクトで『億り人』を目指せ!」より