続々と利用者が増え続けているフリーSIM。自分のデータ通信量、通話料に合わせてスマホのコストを抑えることができる

ボディブローのようにきいてくる毎月のスマホ料金。だが、「フリーSIM」を活用すれば、3大キャリアで普通に契約するよりも安価で、より自分に合ったスマホの使い方ができる。

とはいえ、手続きとか条件がムズカしそうで、なかなか導入するのは勇気がいるもの。そこで、フリーSIMの基礎知識を知っておこう。

まず、用意するのは「MVNO」のSIMカードだ。ケータイの料金プランに詳しいフリーライターの後藤一泰氏が説明する。

「MVNOとは、モバイル・バーチャル・ネットワーク・オペレーター、日本語では仮想移動体通信事業者となります。わかりやすく言うと、キャリアから回線を借り受け、ケータイやスマホの通信サービスをSIMカードの形で提供する業者のことです。

わが国では日本通信が2010年からスマホ向けのSIMカードの提供を始めていましたが、その普及はいま一歩でした。しかし昨年、インターネットプロバイダーや大手家電量販店が相次いでこの分野に参入し、競争に火がつきました。利用者は豊富なメニューから好みのプランを選べるようになったのです」(後藤氏)

たとえば、その料金は、「初期費用が3150円で、月額料金は945円から」など。3大キャリアの月額料金が6555円なのを考えると、まさに格安だ。

だがもちろん、キャリアと同じように使えるわけではない。安いのには、それなりの理由がある。

「現在主流となっているのは、一日当たり、またはひと月当たりの通信量を制限し、そこまでは高速通信できるというものです。容量の制限なしに低速通信のみできる通信速度制限タイプもありますが、通信量制限タイプも十分に安価で、かつ容量制限を超えても低速通信できるのが一般的です。あえて通信速度制限タイプを選ぶ意味はないでしょう。

サービスの面でも、キャリアとは差があります。SMS(ショートメッセージ)はオプションで、また多くのMVNOは電話回線を使った通話には非対応です」(後藤氏)

まず、通信量制限の不安について。一般的なフリーSIMの場合、月2GBまでというプランが多い。不安な人は、利用明細で自分が月にどのくらい通信しているのかを確認してみよう。動画やオンラインゲームのヘビーユーザーでなければ、2GB以上の人はそうそういないはずだ。

次に通話ができないという不安。これはガラケーとの2台持ちで解決しよう。

「LTEでは、ガラケーのプランでは標準だった他社向けの無料通信分がなくなりました。そのため、電話をそこそこ使う人は、これまで以上に通話料を支払わなければならないケースが多い。もちろんスマホには無料通話アプリがありますが、仕事でスマホを使う場合、無料通話アプリだけに頼るのはほぼ不可能です。そのため、通話はガラケーで行ない、通信はスマホでというのが、スマートな使い方なのです。

またMVNOはキャリアメールに非対応ですが、スマホでのメールはGmailなどを利用することにして、キャリアメールはガラケーで受けることにしてもいいでしょう」(後藤氏)

具体的に料金を計算しよう。ドコモのiPhone5s(16GB)を2年間使い続けた場合、機種本体代金+24ヶ月料金の合計で15万7320円になる。一方、SIMフリーiPhone5sで動作確認済みのMVNOサービス「OCNモバイルONE」を利用すると、同条件で11万2744円。その差額は約4万5000円で、月々に直すと1860円ほどフリーSIMのほうが安くなる。

ドコモの場合、ガラケーの最低料金プランは、タイプSSバリュー+ひとりでも割50で980円だ(無料通話1050円分付き)。

もちろん、2台持ちはめんどくさい。さらにオプションを付けていったらキャリアの料金を上回ってしまう可能性もあるし、何よりも利用できる端末が限られているという“落とし穴”もある。

そでれも、より安く、ムダなくスマホを利用したい人は、一考の価値がある。詳しくは、現在発売中の週刊プレイボーイ6号「スマホ&タブレットを3大キャリアよりも安く使う! 知識ゼロからの激安SIM入門」で解説しているので、興味を持った人は参考にしてほしい。

(取材・撮影/本誌「激安SIM入門」取材班)