Jリーグ内部ではそれなりのサプライズ人事で期待感もあるのかもしれないけど、サポーターからすれば「この人、誰?」「なぜ彼が?」とピンとこない状態。選考過程の見えない、相変わらずの人事だね。

Jリーグが第5代チェアマンに現Jリーグ理事の村井満さんが内定したと発表した。

村井さんはリクルートの執行役員や関連会社の社長を歴任し、昨年末まで香港で会社経営に携わっていたビジネスマン。チェアマンは初代の川淵(三郎)さんを除いて、Jリーグクラブ社長経験者が続いていて、サッカー界外部から招かれるのは初めてのことだ。

村井さんにはプロ選手の経験もクラブ経営の経験もないのだけど、自身の会社がJリーグの選手のセカンドキャリアをサポートする事業を請け負っていた縁で、2008年7月からJリーグ理事を3期務めてきた。そして今回、Jリーグが重点を置くアジア戦略の推進や経営改善に向けてビジネスマン的手腕を期待され、白羽の矢が立ったそうだ。

僕が知っているのはそんなところ。村井さんは内定発表の会見で「命を賭(と)してでもお受けしようと思った」と話すなど熱意を見せてくれたけど、これまで彼が理事としてどんな仕事をして、どんな功績が評価され、どんな理念や今後のビジョンを持っているのか、本人からもJリーグからも具体的な説明がないので、まったくわからない。

観客動員数が伸び悩むJリーグは昨年、サポーターの猛反対を受けながらも15年からの2ステージ制復活を決定した。それほど経営的に苦しい状況にある。にもかかわらず、なぜ旧来の透明性を欠くトップ人事を繰り返すのか。本当に危機感があるのかな。

聞くところによると、村井さんのチェアマン就任内定までに行なわれたJリーグの臨時理事会は1回だけ。事前に事務局が用意した役員候補リストが配られ、その場で了承されたそうだ。

確かに、普通の会社ならこうした密室のトップ人事はよくあることなのかもしれない。

でも、Jリーグは民間企業ではなく公共性の高い公益社団法人。組織を立て直すためにどんなビジョンを持ち、それを実現するためにはどんなリーダーが必要なのか、そういう議論をもっとオープンにすべきだったのではないか。いっそのこと海外みたいに候補者を募り、公約を掲げさせ、投票で決める形でもよかったと思う。

結局、今回も誰かの鶴のひと声で決まったのかなと勘繰りたくもなってしまう。何よりJリーグを支えているスポンサー、メディア、サポーターに優しくないね。

もちろん、村井さんに期待していないわけじゃない。選考過程はともあれ、多くの課題を抱えた今のJリーグが新たなリーダーを必要としていたのは確か。外部出身の村井さんだからこそできることもたくさんあるはずだ。個人的にも、外からはモヤモヤとして責任の所在が見えにくい今の組織を、ビジネスマン的感覚でガラス張りに変えてくれることを期待したい。

1月31日にはJリーグの臨時総会、理事会を経てチェアマン就任が正式決定する。彼の最初の仕事はそこ。新チェアマンとして自分はこういうことをやるんだという具体的な意気込み、公約を語れるのかに注目だね。

(構成/渡辺達也)