マキバオーに騎乗するつの丸先生。地元の人は、まさかこの無邪気な日本人が原作者だとは夢にも思わなかったはず

週刊少年ジャンプで『みどりのマキバオー』の連載が始まったのが1994年。そう、今年2014年は「マキバオー生誕20周年&午(うま)年」のメモリアルイヤーなのだ!

現在は、ミドリマキバオーと血縁関係にあるヒノデマキバオーが、ダートを中心に活躍する『たいようのマキバオーW』がwebコミックで連載中。連載開始から20年たっても、いまだにマキバオー人気はおとろえていない。

実はこの人気、日本だけでなく海外にも飛び火しているのをご存知だろうか? 特に香港での人気はすさまじく、1月6日からは香港のショッピングモール「Mikiki」で、マキバオーイヤーを記念したイベント『マキバオー展』が開催中なのだ。

大盛り上がりの『マキバオー展』、そしてなぜ香港でマキバオーが人気なのか、その秘密を探るため、つの丸先生が現地を訪問。“マキバオー熱”をレポートします!

■イベントには人気俳優も登場!

香港には巨大ショッピングモールが点在している。今回イベントが行なわれている「Mikiki」はそのなかでも、観光向けでない、地元住民向けのショッピングモールだ。

地元の人が多く訪れるなか、中央に位置するイベントスペースに、『みどり牧場』が出現。計9体の等身大のキャラクターと、世界観を完全再現した空間が、香港に登場した。これまで、等身大のマキバオーを再現したことはなく、造形の美しさにつの丸先生も感動した様子だった。

イベントの見どころは6か所。

1:漆黒の帝王・カスケードの口取りに参加 2:馬車に乗り、大好物のリンゴを食べるたれ蔵 3:たれ蔵とマキバコに体験騎乗 4:桜の木の下を走り回るたれ蔵とマキバコ 5:馬小屋で、たれ蔵とミドリコと一緒に休憩 6:飯富家の部屋を再現。テーブルにはチュウ兵衛親分も

しかも、すべて触っても乗ってもOK。子供から大人まで、たれ蔵たちと自由に楽しんでいた。さらに隣接したカフェでは、スペシャルメニューのマキバオーのラテアートが販売されていた。

カスケードの口取り式に参加するつの丸先生

マキバオーとマキバコがクルクル回っている

ラテアート

イベント初日には、香港での主題歌を担当したDayo Wong氏が招待され、中国語バージョンの「馬並みなのね~」を熱唱し会場は大盛り上がり。このDayo Wong氏は、昨年12月に香港の民間放送局・TVB Awardsの主演男優賞を受賞した、香港で最も旬な俳優なのだ。

実際にイベントに訪れていた人に話を聞いてみた。

ステイシーさん(18歳)は、「マキバオーのことは、3年前にテレビの再放送で知りました。日本のキャラクターが大好きで、アニメもよく見ています。たれ蔵がとてもキュートで一番のお気に入りです!」。他にも香港島から来たノエルさん(25歳)は、「マキバオーは友達の間でも人気がある作品です。午年の今、マキバオーの実物大が見られてとてもうれしいです」と、その完成度の高さに驚いていた。

香港では『熱鬥小馬』というタイトル表記のマキバオー。熱鬥とは“一番人気”という意味であり、まさにその名のとおりのようだ。

ミドリコとマキバオー

■香港人は大のキャラクター好き

このように香港でのマキバオー熱は高い。では、なぜこれほどまでに人気なのか? そこには、納得の理由があった。

香港の街を歩くと、いたるところで日本のキャラクターが目に入る。コンビニやゲームセンター、ファッションブランドなど、企業の広告に日本のキャラクターが使われているからだ。昔から日本の漫画やアニメを見て育ってきた香港の人々のキャラクター好きは日本以上だ。

『みどりのマキバオー』が香港で初めてアニメが放送されたのは1999年。その後再放送もされ、おなじみのキャラクターとなっている。

そして今は、香港が最も活気付く祭事、旧正月の期間。今年の干支である馬のイラストが街中にあふれている。そして馬のキャラクターで真っ先に思いつくのは……日本同様、香港でもマキバオーなのだ!

チュウ兵衛親分も!

みどり牧場

■香港は、日本以上の競馬人気

そしてもうひとつの理由は、香港での競馬人気の高さだ。香港国際競走デーでは、シャティン競馬場に8万人が集まるなど、香港競馬は人気の絶頂を迎えている。

昨年のJRA年度代表馬は、オルフェーブルを抑えロードカナロアが受賞したが、その評価を上げたのが、香港スプリント連覇という偉業だ。このレースの国際的評価はジャパンカップよりも上と言われている。

また場外馬券売り場(OCB)が香港だけで約125ヶ所もあり、ちょっとした繁華街を歩けばすぐに目にすることができる。いつでも気軽に馬券を買うことが可能だ。

香港の1/3の人は熱狂的競馬好き、と言われるほど定着した文化で、週末には競馬新聞が飛ぶように売れている。そんな競馬が盛んな香港では、当然マキバオーの人気が高く、多くの香港人が笑い、涙しているのだ。

イベント好き、キャラ好き、競馬好きの国民性。子供から大人まで、香港にはマキバオーが人気となる土壌があった。そして生誕20周年&午年を迎えた今、空前のマキバオーブームとなっているのだ。

この『マキバオー展』は2月16日まで。香港に行く機会のある人は、ぜひ立ち寄ってみては?

(取材・文・撮影/押野典史)

■連載漫画『たいようのマキバオーW』http://stg.wpb.cloudlook.jp/2014/01/27/8001/

実物大マキバオーを前にご満悦のつの丸先生