50年愛される国民的おやつは、どのように誕生し、どんな進化を続けてきたのか?

「やめられない、とまらない」でおなじみの「かっぱえびせん」が、今年で発売50周年を迎える。

サクサクサクと一本かじると、ついもう一本手が出てしまう。日本人の“国民的おやつ”といっても過言ではない「かっぱえびせん」だが、そもそも“かっぱ”ってなんなのか?

そんな素朴な疑問を“かっぱえびせん博士”と呼ばれているカルビー・スナック事業部の島田光敏氏に聞いた。

「『かっぱあられ』という商品が、かっぱえびせんのもとになったことに由来します。

かっぱあられは1955年に作られました。当時は戦後間もなくで、お米がなかなか手に入りませんでした。お米で作るあられやおせんべいは、だから高級品でなかなか食べられなかった。それに比べて小麦粉は、アメリカからたくさん供給されていたのですごく安かった。だから小麦であられを作りました」

あのサクサク感のルーツは、祖先の「かっぱあられ」にあったのだ。

「また、その当時、マンガ家の清水崑(こん)先生の『かっぱ天国』という作品がとても人気でした。カルビーの創業者である松尾孝は、小麦あられに何かアイキャッチ的なものが必要だと思い、清水先生に連絡すると、お互いが被爆した長崎県(清水)と広島県(松尾)の出身ということで意気投合し、かっぱのイラストを描き下ろしてもらったのです。そして、『かっぱあられ』という名前をつけて売り出すことになりました。

その後も『かっぱあられ鶏卵せんべい』や『かっぱあられあまから焼き』などの関連商品を出していき、1964年に松尾が子供の頃に大好きだった小エビの天ぷらをイメージした商品を作りました。それが『かっぱえびせん』なのです。かっぱシリーズ最後の商品としてかっぱという名前がついているんです」

「かっぱえびせん」に歴史あり! 当時の人気漫画をルーツとする親しみやすいネーミングと、毎日食べても飽きないシンプルなおいしさが、愛され続けて50年の秘密だったのだ。

(取材・文/村上隆保)

■週刊プレイボーイ7号「発売5周年! かっぱえびせん定番力の秘密」