なぜ、不人気だったはずの5cの中古需要が高まっているのか? そして、誰が購入しているのか?

樹脂製ボディが安っぽいと敬遠され、昨年9月の発売直後から不人気が続いているiPhone「5c」。

だが、そんな5cの中古品が今、アキバの中古ケータイショップで好調な売れ行きを見せているのだという。

新品の販売は相変わらず低調なのに、なぜここへきて中古の需要だけが高まっているのか?

理由は簡単。極上コンディションの5cが安く手に入れられるようになったからだ。

JR秋葉原駅近くの中古ショップ店員A氏が語る。

「去年の12月初旬あたりと比べると、今年に入ってから販売価格が6000円ほど下がりましたからね。当店ですと現在、16GBモデルをキャリア、色を問わず3万3800円でお出ししています」

この値下げには、前述した新品5cの不振が影響している。今、ケータイショップのなかには5c販売のテコ入れのため、MNP客に対してはキャリアとの2年契約義務が発生しない一括購入でも、定価5万2920円(16GBモデル)のところを0円で販売し、さらに1万から2万円のキャッシュバックまでつける店が少なくない。これが問題なのだ。

別の中古ショップ店員B氏が語る。

「抜け目ない人たちがそうした5cを未使用のまま中古店に転売し、荒稼ぎする例が急増しているのです。結果、中古店では膨れ上がった5cの在庫を減らすため、大幅値下げに踏み切らざるを得なかったわけです」

では、その中古ショップではどんなユーザーが5cを購入しているのだろう。

「現在はガラケーもしくはAndroid機を使っているけど、iPhoneに興味があるという方が、ウェブ閲覧専用のサブ機として購入することが多いですね。NTTドコモ版ならば日本通信などの格安キャリアも利用できますから、月1000円以下の通信費に抑えることも可能。5cのお試し使用を低コストで実現できるのです」(A氏)

「KDDI(au)版iPhoneは、前モデルの『5』から現行の『5s』『5c』になり、800MHz帯でもLTEが使えるようになりました。そのつながりやすさを安い値段で実感したいという、au版5のユーザーも買っていかれます。5から5cへの移行だと、SIMを挿し替えるだけでオーケーなのです。これが5sとなると中古でもまだまだ高額なので、手を出しにくいようです」(B氏)

ん? サブ機としての購入は理解できるとして、au版5のユーザーがなぜ、新品より割安だとはいえ、わざわざ中古の5cを買うのだろう? なぜそう思うかというと、分割払いでの機種変更なら、2年の縛りを条件に、キャリアが提供する月々の割引によって実質タダ(16GBモデルの場合)で新品の5cを入手できるからだ。

料金プランに詳しい携帯電話ライターの佐野正弘氏が、その謎を解き明かしてくれた。

「機種変更の場合、前の端末に分割払いの残債があれば、一括返済する必要があります。5は発売されてから1年半しかたっていないため、まだ多額の残債があるユーザーが多いのです。しかも、この秋には、2年ぶりに『6』へのメジャーモデルチェンジが見込まれます。そんな時期に5cへ機種変更すれば新たな分割払いを抱え込んでしまい、6の新発売から日を置かずに乗り換えるのが難しくなってしまうんですよ」

つまり、6登場までの“つなぎ”として最新のiPhoneを楽しみたいau版5のユーザーにとっては、残債分を毎月支払いながら中古の5cを買い足しても、十分リーズナブルな選択といえるわけなのだ。

けど、そもそも“最新のiPhone”とやらを、そこまで必死になって追いかける必要なんてあるのか?