2月17日から2013年分の確定申告の受付が始まった。

一般的に自営業の人がやるイメージのある確定申告だが、サラリーマンでも控除の対象になるものがけっこうある。その代表が医療費だ。税理士の久保直人さんが説明する。

「医療費は、生計を同一にしている家族の合計が10万円を超えた場合に控除の対象となります。ちなみに、総所得額が200万円未満の人は、総所得額の5%以上の医療費がかかった場合が対象です」

年間の医療費が10万円以上とはハードルが高いように思えるが?

「医療費といっても控除の対象はかなり幅広く、家族の分も含めて計算していくと、けっこうな金額になることも少なくありません」(久保さん)

では、実際にどんなものが医療費控除として認められ、どんなものが対象外なのか、項目を挙げていこう。

【薬局で買った風邪薬や胃腸薬】……○ 【薬局で買った栄養剤やうがい薬】……×

「控除の対象になるポイントは、治療が目的なのかどうかです」と久保さん。一方で、予防目的のものはNGになる。

【虫歯の治療】……○ 【痔の手術】……○ 【性病の治療】……○

「病院で医師の治療や診察を受けたものは基本的に認められると考えてください。ただし、豊胸手術や目を二重にするなど、美容を目的とした整形外科手術は控除の対象外です」(久保さん)

薬だけでなく手術も「治療」目的ならOK。歯の治療でいえば、保険の利かないインプラントもOK。しかし、「歯の矯正」は判定が微妙なところだという。

「発育途中にある子供の歯の矯正は対象になります。また、大人でも歯の噛み合わせの悪さが顎関節症や頭痛の原因であり、その治療のために矯正が行なわれる場合には対象になると考えられます」(久保さん)

【レーシック手術】……○ 【メガネ・コンタクトレンズ代】……△

レーシック手術は、近視や乱視を治療するための手術なのでOK。基本、控除の対象ではないメガネ・コンタクトレンズだが、弱視や白内障などの治療で必要なメガネは対象となる。

久保さんに確定申告の注意点を聞いた。

「支払った医療費が全額そのまま返ってくると思われる方もいますが、医療費控除というのは、かかった医療費を所得から差し引いて、その分の税金を安くしますというものです。

また、かかった医療費の領収証やレシートは申告に必要なので、必ず保管しておくこと。ともあれ、医療費控除はサラリーマンの方にとっても節税の基本ですので、しっかりマスターしてほしいですね」(久保さん)

今年から特定支出控除の制度が一部改正され、よりサラリーマンにも身近になった確定申告。今年の申告期間は3月17日まで。サラリーマンの人もチャレンジしてみては?

(取材/浜野きよぞう)

■週刊プレイボーイ9号「これで確定申告も万全! 脱税、節税の境目クイズ!!」より