写真:Naoya Sanuki/JMPA

ソチ五輪の“レジェンド葛西”を見て、「俺だって……」と夢見てしまったアナタにささぐ、耳寄りの情報をお届けしよう。

41歳にして、夢の舞台・オリンピックで銀メダルと銅メダルを獲得した葛西選手。30歳を超えたアナタでも、2020年の東京オリンピックに「日本代表」として出場するチャンスが、100%無いとは言い切れない……かもしれないのだ!

アマチュアスポーツを取材し続けて40年のベテランスポーツライター・折山淑美さん、今から始めて東京五輪出場を目指せる競技は何かありませんか?

「ないですよ! 常識で考えてみてくださいよ(笑)」

……ですよね。

「でも、ひょっとするとウエイトリフティングなら……」

え、ホントですか?

「ウェイトリフティングは競技人口が少ない上、本格的に始めたのは高校以降という選手も多いんです。確率を考えれば、ほかの競技より可能性は高いと思いますよ。さらに、東京五輪なら開催国枠があるので、他国開催よりも出場できる人数は多い。もちろん、言うほど簡単な話ではないですけどね」(折山さん)

調べたところ、ウエイトリフティングの競技人口は約4000人。水泳の約12万人や陸上の約32万人と比べると、明らかに少ない。(※日本水泳連盟、日本陸上競技連盟の登録者数。SSF「中央競技団体現況調査」2013より)

さらに、日本ウエイトリフティング協会の岡本実専務理事も、「6年もあれば、五輪に出場できる可能性はありますね」と語る。

写真:Naoya Sanuki/JMPA

ウェイトリフティングは腕力ではなく技術

「女子53kg㎏級の八木かなえ選手も、同48kg級の水落穂南選手も、開始して約4年でロンドン五輪に出場しました。女子と男子で難易度は違いますが、この競技は技術を習得すれば誰もができる。不可能とは言いきれません」

技術? 重いものを持ち上げればいいんじゃないですか?

「ウエイトリフティングは、脚で床を蹴る反動でタイミングよくバーベルを持ち上げるものなんです。腕力で重いものを持ち上げるわけじゃない。単純な競技ですが、技術を身につけるための訓練が必要なんです」

逆に言うと、初めは腕力に自信がなくてもいいと?

「そのとおりです。まずは脚力が重要。腕の力をはじめ、全身の筋力はトレーニングで後からつけていくものなんです」

さらに、早稲田大学ウエイトリフティング部の岡田純一監督も、こうつけ加える。

「筋力に加え、体の柔軟性も必要ですね。無駄なく力を運ぶには関節の可動域が広くないといけません。スムーズに体が動くことでスピードが生まれ、パワーも生まれるんです。ベースとなる資質から考えると、例えば体操をやっていた人などは習熟が速いですね。跳ぶ動きが多いから足腰の使い方が上手だし、柔軟性もある。八木選手も体操からの転向組です」

おふたりによれば、ウエイトリフティングは階級制なので、体格差は関係ないとのこと。技術と筋力、柔軟性を鍛えれば上達するという。

最後に、アナタにレジェンド葛西の言葉を贈ろう。

「努力を続ければ夢は叶う」

(取材/大野智己)

■週刊プレイボーイ10号「大人でもいまから練習して東京五輪を目指せる競技が3つある!!」より