激安を売りにした通販サイトでショッピングをして代金を振り込んだけど、待てど暮らせど商品が届かない……。そんな詐欺被害が、ここ数年で急増している。

日本通信販売協会消費者相談室の八代修一室長が説明する。

「われわれに相談が寄せられた件数だけ見ても、ものすごい勢いで増えています。2010年には年間で75件の被害報告でしたが、12年には646件、そして昨年は1年間で3458件と、前年の5倍以上の増加となっています。今年はどれほどの被害になるか、予測がつきません」

この数字は、あくまで日本通信販売協会の「通販110番」に寄せられた被害相談件数なので、実際にはこの数倍、数十倍の被害が発生している可能性もある。

では、具体的にどんな手口で被害に遭うのか。ニセサイトの対策に取り組む、大阪府警サイバー犯罪対策課に聞いた。

「通販サイトで客をダマしてお金を振り込ませるわけですが、そのサイトは大きく2種類に分けられます。ひとつはニセブランド品を扱うサイトで、お金を振り込むと、買った商品とはまったく違う粗悪品のニセモノが届くというもの。

もうひとつは、もっと悪質で、お金を振り込ませて商品も送らない。粗悪品とはいえ、商品を送ってくるのならまだしも、こちらは何も送ってこない。そして、最近の傾向としては、その商品を送らないサイトが増えています」

ニセモノさえ送ってこない悪質な詐欺通販サイトが増えているため、被害報告が急増しているのだ。

ニセ通販サイトは、他のサイトを丸々コピー?

「さらに、商品を送ってこないニセサイトにも2種類あって、屋号からサイトの作りまで、正規の通販サイトをまるまるマネして、振込先だけ違うというものがあります。もうひとつは、正規サイトの商品画像などをコピーして、サイト自体はそれっぽい通販サイトを作るケースです」(大阪府警サイバー犯罪対策課)

前出の八代氏が、こうしたサイトの出現について説明する。

「ニセサイトの被害相談件数が増えるにつれ、正規のネット通販業者からの相談も増えてきました。自分の会社のサイトの一部がコピーされたり、商品画像がコピーされたといった内容です。そして、それに合わせて、商品が届かないという被害も増えた。

おそらく、もともとネット通販詐欺をしていた、粗悪品でも送っていたグループとは別に、『何も商品を送らなくても、すでにある通販サイトをコピーしたニセサイトを作れば、客が勝手に振り込んでくるし、そのほうが手間がかからない』と考えた強引な手口の詐欺グループが新たに参入してきたのではないかと考えられます」

あまりにも雑な手口だが、それでも「激安」という言葉につられてダマされてしまう人は後を絶たない。現在は、警察のサイバー犯罪対策課と詐欺グループのイタチごっこが続いている状態だが、最終的には自分の身は自分で守るしかない。

(取材/頓所直人)

■週刊プレイボーイ13号「被害急増!『ニセ激安サイト』にダマされない方法!!」より