元レッドソックスの人気者、ユーキリス(楽天)、マリナーズ時代にイチローとチームメイトだったベタンコート(オリックス)、昨年の韓国最多勝、セドン(巨人)、韓国で通算277セーブの実績を持つ呉昇桓(オ・スンファン/阪神)など、今年も日本球界に楽しみな新外国人選手がやってきた。

一方、今オフは日本球界内でも外国人選手の激しい争奪戦が勃発。もっとも“大暴れ”したのが、「かつての巨人でもここまではしなかった」というレベルのソフトバンクだ。

野手ではオリックスから李大浩(イ・デホ)、投手でも西武からサファテ、日本ハムからウルフ、阪神からスタンリッジを引き抜いた。

「4人とも、表向きは契約切れを待っての獲得。でも実際は、スタンリッジ以外の3人には、昨季終了前に水面下で接触していたというのが球界の“定説”です。Bクラス落ちに激怒した孫正義オーナーが、今季の優勝を厳命したことが背景にあるといわれています」(スポーツ紙デスク)

典型的なのが李大浩。昨季は低迷するオリックスで打率3割、24本塁打、91打点の好成績を残し、2年連続で140試合以上出場している点も評価が高かった。

「昨季の公式戦終了後、李はオリックスの2年8億円という提示に対し、『それが基本線じゃ話にならない』と言い捨てて帰国。あの時点で、ソフトバンクから高額の条件提示があったのはミエミエでした」(前出・スポーツ紙デスク)

結果、李の年俸はオリックス時代の2億5000万円から、今季は4億5000万円(出来高含む)にジャンプアップ。3年契約の総額は最大16億円に上るといわれている。さらにウルフが年俸1億5000万円、スタンリッジが同2億円、サファテが同1億円と、全員が大幅アップで契約している。

ソフトバンクのせいでマネーゲームが勃発!

だが、このソフトバンクの大盤振る舞いが他球団にも影響を及ぼしているという。「サファテとウルフが昨季から年俸50%アップで契約した」というような情報は、ほかの選手の代理人の耳にもすぐに入る。そして、その“前例”が他チームとの交渉時に利用される――つまり、マネーゲームが例年に比べ激しくなってしまったのだ。

「特に、独自の情報源が少なく外国人の獲得が代理人任せになっているチームは、割高な条件を提示されても欲しい選手ならサインする。西武、オリックス、阪神、ロッテあたりがそうです。

例えば、オリックスのペーニャ。昨年故障したばかりで、32歳と若くもない。相場でいえば5000万円から6000万円で獲れたはずです。でも、李大浩を引き抜かれ、後任の4番が見つからないなかで足元を見られ、1億2000万円も払うことになってしまった」(メジャー関係者)

ほかにも、楽天のブラックリーはメジャー通算9勝というビミョーな実績なのに年俸2億円。西武のボウデンレイノルズは、どこにでもいそうなレベルでともに8000万円。同じく西武のランサムは、すでに38歳。相場は5000万円程度だが9000万円。ロッテのクルーズは、マイナー出身にもかかわらず7500万円と、外国人選手にとってはまさにプチバブル状態。

巻き込まれなかったのは、外国人選手獲得で独自路線を貫いている広島、中日、日本ハムだけ? この3球団の新外国人選手が活躍するかどうかも、今年のプロ野球の注目ポイントだ。

■週刊プレイボーイ13号「球春恒例 プロ野球新外国人36名全員診断」より