今でもふつうにサクサク動くだけに、サポート切れといってもピンと来ないXP問題。安易に考えていると、痛い目にあうかも?

4月9日、WindowsXPのサポートが終了する。2001年に発売され、爆発的に売れたOSであるXP。今でも利用している人は多いはずだ。

では、サポートが切れると、どういう事態が起こるのか。パソコンのセキュリティ事情に詳しいITジャーナリストの三上洋氏に教えてもらった。

「サポートが切れるということは、マイクロソフトがアップデートをしなくなるということです。コンピューターを家にたとえると、住んでいるうちに屋根に穴が開いたり、壁が壊れたりしてきますよね。そこで、アップデートという大工さんが、これまで穴が開いた屋根や壊れた壁を直してくれていたんです。しかし、今後は大工さんがいなくなり修理ができなくなるため、壊れた壁から泥棒などが家の中に入ってきて、現金や貴重品などが盗まれやすくなるのです」

だが、サポートが切れても、セキュリティ会社のウイルス対策ソフトが入っていれば大丈夫ではないのだろうか? 三上氏が続ける。

「ウイルス対策ソフトというのは、たとえれば、家の外側に立っている警備員さんです。この警備員さんは泥棒など犯罪者(ウイルス)の顔を知っていて、犯罪者を見つければ家の中に入らないように追い返してくれます。しかし、犯罪者は、一日に何万人(種類)と生まれていて、犯罪者が入り込もうとする穴がたくさん開いていれば、それだけ犯罪者からの攻撃に遭い、警備が手薄になります。そのため、ウイルス対策ソフトだけで、コンピューターを守ろうというのは不可能なんです」

セキュリティ対策会社もマシンの買い替えを推奨

ウイルス対策ソフトを販売しているセキュリティ会社のカスペルスキーの担当者も、同意見だ。

「XPのサポートが終わってからも、ウイルス対策ソフトを入れておけば安全かというと、答えは“ノー”です。これはほかのセキュリティ会社さんも同じ意見だと思います。マイクロソフトのサポートがない、つまり今後セキュリティホールが修正されないXPを使い続けるのは、ウイルス感染のリスクがとても高いんです。ウイルス対策ソフトはセキュリティホールを修正するソフトではありません」

それでも、カスペルスキー社ではXPサポート終了後もウイルス対策ソフトを出し続けるという。一体なぜなのか。

「XPを使い続けている人がいると不正プログラムのキャリアになって、他人にウイルスなどをまき散らす危険性があるからです。ウイルス対策ソフトを入れておけば、圧倒的にウイルスに感染するリスクは減ります。それでも、2015年には現行製品のサポートレベルが限定的になったり、2016年にはウイルスの情報を格納する定義データベースの配信だけになったりします(詳細はカスペルスキーの公式サイトをご覧ください)。XPサポート終了後の最善策は、できるだけ早くOSやマシンを替えることなんです」

最悪の場合は、いまだ解決していないパソコン遠隔操作事件のように、知らない間に犯罪者に仕立てられる可能性も……。このXP問題、軽く考えていると恐ろしい目にあうかもしれない。

(取材/村上隆保、協力/松村さやか)

■週刊プレイボーイ14号「4月9日ウインドウズXPのサポ切れで、キミもPC遠隔操作の巻き添えになる!?」より