今年のGW中、ふたつの不気味な地震が日本列島を襲った。

ひとつは5月5日午前5時18分頃、関東地方を襲った強い地震だ。震源地は伊豆大島近海で深さは160km。M6.0で、特に東京23区内は揺れが大きく、千代田区大手町の気象庁地震計は2011年3月11日の「東日本大震災」以来の震度5弱を記録した。

そしてもうひとつが、この地震の震源地から北西へ約220km離れた岐阜県・飛騨地方で、5月3日に突如として始まった「群発地震」だ。

気象庁発表の地震データによると、この「飛騨地方群発地震」はM2~4級・震度1~3の有感地震が5月3日だけで32回も発生し、その後は回数が減りながらも数日間発生していた。

では、この群発地震の何が気がかりなのか? すでにネット上などで騒がれているように、それは3年前の2011年2月27日にもまったく同じ震源域で一日28回の群発地震が起き、その12日後、東日本大震災が発生しているからだ。

3年前は2月27日に地震が集中発生した後、翌日から回数がペースダウン。そして3月7日には終息に至った。

ところが、その2日後の3月9日からは三陸沖の海底で、2日間でM3~7クラスの地震が40回も発生。そして3月11日のM9.0「東日本大震災」へとつながっていったのだ。

このように今回の飛騨地方群発地震は3年前の東日本大震災と酷似した“初動パターン”を見せており、それでいえば群発地震発生から12日後あたり――すなわち5月15日頃、再び日本列島を大地震が襲うのでは?という声が出ているのだ。

ただし、東日本大震災によって、三陸沖の地震エネルギーは大幅に解放されたとみられているので、三陸沖で再び大地震が発生する可能性は低い。

となると危険地域は、三陸沖のエネルギー解放によって逆に圧力が強まったといわれている南関東から西日本にかけての「フィリピン海プレート」および「ユーラシアプレート」あたりという推測もできる。

具体的には、首都圏に被害を及ぼす相模トラフの「関東直下型地震」、西日本広域に被害を及ぼす駿河トラフ延長上の「東海・東南海・南海地震」。

今のところ(5月11日現在)、2011年2月27日の飛騨地方群発地震から3月11日の東日本大震災までに起きた明確な巨大地震の予兆、すなわち三陸沖での「連続地震」のようなものは発生していないが、はたして?

(取材/有賀 訓)

■週刊プレイボーイ21号「3.11直前と状況が酷似する『飛騨群発地震』は、なんの前兆現象なのか? 『次の巨大地震』発生のメカニズムが見えた」より