先日、新潟県三条市が全30の小・中学校給食で「和食に合わない」という理由から牛乳を試験的に廃止することを発表した。

「牛乳の栄養分は新メニューを開発することで補う」(三条市・広報)ということだが……。無形文化遺産に登録されたこともあり、和食を愛する風潮がさらに高まる昨今。このままでは日本の給食から牛乳がなくなってしまうのでは?

北海道大学名誉教授の仁木良哉(にきりょうや)氏に話を伺った。

そもそも、以前から牛乳が体に悪いという説もありますが?

「酪農民族の西洋人と比べ農耕民族であった日本人は牛乳に含まれる乳糖の消化が苦手であることは事実です。が、給食で配られる200mlという量でおなかを壊すのはごくまれでしょう。また、コレステロールや脂肪が悪とされている面もありますが、どちらも体には必要な栄養分。なので、適量摂取は必要なんです」

では、逆に飲まなくなることのデメリットはあるの?

「懸念されるのはカルシウム不足です。牛乳は200mlで一日に必要なカルシウムの40%が摂取できます。また、含まれている乳糖やタンパク質がカルシウムの吸収率を上げることも牛乳の強みなんです。三条市は給食のメニュー開発で補うという話ですが、牛乳200ml分のカルシウムを取るためには納豆を5パック食べなければなりませんので、現実的には難しいでしょう。ほかに、牛乳はタンパク質もWHOによる必須アミノ酸推奨摂取量を100%満たしている、優れた飲み物なんです。成長期の小・中学生のことを考えると廃止は良いこととは思えません」

なるほど。「合わないから」という理由で廃止するのは考えものということか。では最後に、ひと言物申したいという人が。100年に1人の逸材といわれるレスラー、新日本プロレス・棚橋弘至(たなはしひろし)選手。

「俺は中学の頃、クラスメイトから集めた牛乳を毎日5本ずつ飲んだから身長が3年間で21cm伸びたんです。強い男になるために給食の牛乳廃止はよくないなぁ。疲れたことがないのも毎日牛乳を1L飲んでるおかげですから。牛乳愛してま~す!」

(取材・文/黄 孟志)