5月5日早朝、関東地方を襲った地震(M6.0、震源地深さ約160km)について、気象庁はこう発表している。

「今回の地震は、想定されている首都圏直下型や関東大震災(1923年9月、M7.9)などの巨大地震とは震源の深さやメカニズムがまったく異なるので関連性は低い」

とはいえ東京23区内の最大震度は5弱を記録した。かなり震源地が深かったにもかかわらず、なぜこんなに大きく揺れたのか? それは、関東直下のプレートが大きく関係している。

関東・東海地方の地殻は、厚さ30~40kmの北米プレート/フィリピン海プレートの下に太平洋プレートが潜り込む複雑な構造だ。そして最近では、フィリピン海プレートと太平洋プレートの間に「関東プレート」という第4のプレートが存在するとの見方も出てきた。

これは太平洋プレートの一部が割れ、フィリピン海プレートとの間に挟まってできたとみられ、約100km四方のプレートの上に東京都がすっぽりのっているといわれている。

つまり、関東直下のプレートは4層構造になっており、複雑かつ不安定。「免震・耐震機能がない四重の塔」とも表現されるほどで、地下160kmという深い所で発生した場合でも震度5弱を記録してしまうのだ。関東大震災(推定深度23km)クラスが再び襲ったら、どれほどの揺れになるのか想像もつかない。

東日本大震災を境に、相模湾地域の地震活動と地殻変動が強まってきている。例えば昨年7月3日には相模湾中央の深さ約10kmでM3.5の地震が、7月10日には相模湾西部の深さ10kmでM 3.9、最大震度4(神奈川県湯河原町)の地震が連動発生した。それより前の1月から3月にかけては箱根火山周辺で群発地震が観測され、6月には三浦半島先端の城ヶ島沖海底で「6mの異常水深減少=海底隆起」が確認された。

海底火山が誘発する巨大地震が危険

琉球大学名誉教授の木村政昭博士(理学)によると、3・11以降、日本列島は急激に不穏な動きを見せ始めているという。

「昨年、突如として噴火が始まり、面積が急拡大した小笠原諸島の西之島にも最大級の警戒を向ける必要があります。この西之島火山活動と足並みをそろえて、小笠原海域での海底地震活動も確実に勢いを増し、近々にM8~9級の巨大地震が起きる危険性が高いのです。

日本列島に影響を及ぼす海底地震といえば、東海・東南海・南海地方のトラフ型地震ばかりが取り沙汰されてきましたが、小笠原海域の海底火山噴火で誘発される巨大地震と津波の恐ろしさには計り知れないものがあり、日本列島だけでなく環太平洋全体の沿岸部に被害を及ぼし、世界経済を回復不能状態に陥れる恐れがあります」

関東直下地震は、いつ発生してもおかしくない時期に突入している。地震は回避できない。そのときのために備えることが重要だ。

(取材/有賀 訓)