「東大なんてクズなんだよ!」と過激な発言を連発する茂木氏

3日、東京大学駒場キャンパスで、無料授業動画サイト「manavee(マナビー)」代表の花房孟胤(はなふさ・たけつぐ)氏と、脳科学者の茂木健一郎氏による「『予備校なんてぶっ潰そうぜ。』トークバトル」が開催された。

今年4月に著書『予備校なんてぶっ潰そうぜ。』を刊行した花房氏。元東大生である自らの体験から、日本の大学受験には地理的・経済的格差があると気づき、その格差を解消するため無料の授業動画サイト「manavee」を設立。現在は、難関大学の現役生を中心に、社会人などのべ300人近くが授業の動画をインターネット上に投稿し、誰でも無料で大学受験勉強を受けられるようになっている。

花房氏と、東大卒業生である茂木氏のトークバトルは、最初から高テンション。告知した開始時刻より早く始めた花房氏に対し、茂木氏は「先に始めちゃうとか最高。やっぱりお前面白いよ」と軽いジャブ。しかしすぐに、「何のためにやってるの、これ。レクチャーの動画ファイルの集合じゃ、ローテクな感じがする」といきなりバトルをふっかけた。

「manaveeから次のアインシュタインを作りたいんですよ」と夢を語る花房氏に対し、茂木氏は「大学受験からアインシュタインは出ないでしょ。偏差値を競う大学受験ごときの勉強で。日本の受験システムがクズなんだよね」とバッサリ。その後、1時間に渡って「小学生から研究に対して直接接続できるような教育が必要」「“学問”に対する認識をはき違えている」など、日本の受験システムや大学のカリキュラム、教育制度に対する痛烈批判を繰り広げた。

さらに、それらの現状を基にサービスを提供する花房氏に対して、「海外に目を向けろ!」「日本だけ見てても意味ないんだよ!」と、途中でTシャツ姿になるほどの熱弁をふるった。

コテンパにやられる花房の反撃は……

開始直後から白熱するトークバトルに冷房も役立たず

一方の花房氏は、茂木氏の意見に賛同しつつも、「自分はあくまで理屈としてキレイなことを言うより、(身近なところから)実効的な課題解決をできないと意味がないと思ってる」と応戦。しかし、茂木氏からは「議論の前提になってることがあまりに違いすぎて話にならない!」と一蹴されてしまった。

「自分がコテンパにやられ過ぎてるので、来場者からの質問を聞きましょう」と話を切り替えた花房氏。終始、日本の教育システムに批判的だった茂木氏に対して、「どうしてまだ日本にいるんですか?」と援護射撃が入るも、「結局、日本が好きなんだよね。(既存の構造は)間違ってると思うけど、どうにかしたいんだよ」と、これまでの様子から一転、和やかに回答。トークバトルでは一枚上手の茂木氏であった。

立ち見客まであふれた今回のイベント。トークバトルでは先輩に敗北してしまった花房氏だが、「“学問”ができるような社会を作りたい」という熱い信念は、多くの人に伝わったようだ。

■予備校なんてぶっ潰そうぜ。

著者:花房孟胤判型/総ページ数:四六判/256ページ定価:1300円(本体)+税【http://books.shueisha.co.jp/CGI/search/syousai_put.cgi?isbn_cd=978-4-08-786042-9