6月4日の対広島戦、11日の対巨人戦と、2試合続けて自己最速となる160キロをマーク。“投手・大谷”の快進撃が止まらない。

花巻東(はなまきひがし)高校時代にも一度、岩手県予選で160キロを計測したものの、これは「地方球場の球速表示ということで、実質的には“参考記録”」(アマ野球担当記者)だった。それが今回、ようやく正式に“160キロ投手”と認定されたわけだ。

ただ、球界関係者は別の視点から大谷のすごさを再確認したという。4日の広島戦で投じた全71球のうち、ストレートは47球だったのだが、そのすべてが150キロ以上だったのだ(11日の巨人戦でも、敬遠以外のストレートはすべて150キロ以上)。

「過去の正確な集計はないのですが、先発でストレートが全球150キロ超えとはおそらく前代未聞。広島戦でマスクをかぶっていた日本ハム・市川も、『全部速かった。160キロの一球だけが特別速かったという実感はない』とコメントしていましたが、これこそ大谷の規格外ぶりを示す数字です」(スポーツ紙デスク)

今季の大谷はここまで10試合に登板し5勝1敗、防御率2・95と、成績もきっちり残している。もちろん打者としても随所で非凡さを発揮してはいるものの、これだけ投手としての圧倒的なポテンシャルを見せつけられると、「やはり二刀流はやめて、投手に専念すべき」という声が大きくなってきそうだ(ちなみに打撃成績は、35試合で打率2割7分7厘、2本塁打、14打点)。

現実問題、投手として先発ローテーションに入っている限り、野手としてのフル出場は不可能。同様に、今後も打者としてそれなりに出場を続けるなら、休養のために登板間隔を空けなければならないケースも出てくる。つまり、今のままでは打者として「(規定打席に到達しての)3割」や「30本」を打つことも、投手として「20勝」を挙げることもかなわないのだ。また、160キロを計測した2試合はいずれも故障で降板したことから、二刀流の肉体的な負担という問題も浮上してくる。

記録ではなく“記憶に残る選手”に?

「取材現場では、大谷が活躍すればするほど二刀流の“是非論”が話題になりますが、それを球団や首脳陣、そして本人にぶつけるのはタブーという雰囲気がある。球団としては『夢や可能性をファンに提供している。水を差さないでほしい』という考えなんです」(地元テレビ局関係者)

入団時からブチ上げてきた二刀流だけに、引っ込みがつかなくなっているのか……? しかし、ある日本ハム関係者はこう語る。

「大谷は、記録ではなく“記憶に残る選手”を目指しているんでしょう。もしどちらかに専念したら、どれだけの成績を残すのか? そうやって想像をめぐらせる喜びが、彼の最大の魅力だと思います」

そんな大谷の実力は、海の向こうからも高く評価されている。

「あるメジャー球団のスカウトによると、『投手なら今すぐ15勝。打者なら将来的にストロベリークラスになる』とのことです」(前出・スポーツ紙デスク)

ストロベリーとは、1980年代から90年代にかけてメッツ、ヤンキースなどで通算335本塁打を放った名スラッガー、ダリル・ストロベリーのこと。いくら160キロを投げても、やっぱり打者・大谷の可能性も捨て難い……。ゼータクな悩みは当分続きそうだ。

*文中のデータはすべて6月11日時点

■週刊プレイボーイ26号「世間の皆さん、実は『プロ野球』もやってますよ!!ワイド」より