山崎桃子(左)とじゅりえもん(右)がガチで対決!THE OUTSIDER初の女子部門がついに開催される

「不良達ヨ、覚醒セヨ。」

この刺激的なキャッチフレーズで、2008年に第1回大会が開催された「THE OUTSIDER(ジ・アウトサイダー)」

それぞれの選手たちの生きざまを背負った戦いにより大ブレイクを果たしたこの総合格闘技大会に、このたび女性部門がスタートする。栃木の現役キャバ嬢VS神奈川元キャバ嬢はたして勝つのは?

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ヘタこいて、顔面が腫れ上がって泣いても、知らんからねっ!

そんな、こちらの心配をよそに、前田日明の巨体を挟み、小柄でか細いふたりの女子が凜(りん)とした表情でたたずんでいる――。

アマチュア、セミプロの選手、いや、正直に書いてしまうと、日本中の不良どもが気合いと根性と危険な人間力を競い合って大ブレイクし、6年目を迎えた総合格闘技大会「THE OUTSIDER」に、初めて女子のシングル戦が組まれることになったのだ。

それにしても、なぜリング上にも観客席にも“硬派”のにおいが充満する「THE OUTSIDER」に、女子の試合が組まれることになったのか?

大会の最高責任者である前田日明は、次のように説明する。

「今の日本は小泉政権以降、より格差社会が広まって、一度でも道を踏み外した人間は再起を図るのが難しくなった。特に若い連中は不良の烙印(らくいん)を押されたら最後、世の中の偏見が邪魔をして、なかなか自分が輝ける場所にたどりつけない。だったら、俺が総合格闘技のプロデューサーとして、そんな連中の熱き思いと、抑えられない強さへの願望を叶えさせる場を作ってあげようと思ったんだ。それが『THE OUTSIDER』。で、輝きたい、自分の力を試してみたいというピュアな欲求に男も女もない。だから、女でもリングに上がりたい人はどうぞ、と公募したら、このふたりが手を挙げたんだよね」

「殴られたら、殴り返せばいい」(じゅりえもん)

だけれども、女子が上がるリングにしては、あまりにも危険で恐ろしい場だと思うのですが。

「大会の歴史が安全を保証している。これまでの大会で深刻な事故は起きていないんですよ。というのも、高度な技術を持ったレフェリーが試合を裁いているし、グローブなどの用具も進化して安全性を重視した作りになっていますからね。それに、実は男より女のほうが頑丈で、柔軟性にも優れている。例えば、腕ひしぎ十字が完璧に決まっても、猿腕だったりすると関節の柔らかさで、技から逃げることも可能だったりするんだよ」

そこまで前田が太鼓判を押すのであれば、あとはもう、女の戦いを見守るしかない。

あっ、待て待て、その前にもうひとつの疑問。何がどうなって、このふたりの女のコは、殺伐としたリングに上がろうと決意したのだろうか。

まずは、現役キャバ嬢の「じゅりえもん」。元彼がメソメソしていたときは容赦なく顔面をぶん殴っていた過去を持つ。

じゅりえもん「私、これまで何をやっても中途半端だったんです。何ひとつやり遂げてない。でも、『THE OUTSIDER』の大会を観戦しているうちに、私もあのリングで必死に戦うことができたら、勝っても負けても最後までリングに立つことができたのなら、私自身が変われると思ったんですね」

相手選手から殴られるのは怖くない?

じゅりえもん「別に(笑)。殴られたら、殴り返せばいいだけの話ですし。ただ、試合が決まったと聞いてから、緊張のせいか眠れなくなっちゃって」

前田「みんなそうだよ。横になっていても、真綿で首を絞められている感じになるんだ」

じゅりえもん「私も今は、そんな感じです」

前田「でも、試合が終わった瞬間、一気に抑制されていた精神が解放されるんだよね。その解放感はクセになるよ。この気持ちよさを味わいたいがために、またリングに上がりたいと思うんだよ」

大会当日は、どんな戦いを観客に見せたい?

じゅりえもん「ハンパしてない自分を。あと、仲間や地元(栃木)の先輩たちも観に来てくれることになっているんで、恥をかかせないようにしないと。先輩たちの気合いがすごくて“絶対に負けるんじゃねえぞ。負けたら地元に帰ってくるな”とプレッシャーをかけられてて」

「倒して上からボコボコ殴ればいい」(山崎桃子)

一方、対戦相手の山崎桃子も地元(神奈川)の先輩から“負けたらタダじゃおかないからなっ”とハッパをかけられているそうだ。彼女たちの試合は、もはや栃木の不良vs神奈川の不良の代理戦争となってきた。

そうそう、桃子選手も元キャバ嬢。今はショップ店員だそうな。そして、格闘技歴が“喧嘩(けんか)”というのだから期待十分だ。

山崎「とにかく相手の髪の毛をつかんで、足を引っかければ倒れると知ってるんで。相手が倒れちゃえば、あとはマウントになって、上からボコボコ殴ればいいってこともわかってます」

前田「いやあ、やっぱり女のほうが肝が据わっているね。それに、男の選手より自分を表現できる言葉を持ってる」

当日は勝てそう?

山崎「さっき撮影で、初めて向こうの選手(じゅりえもん)を見たんですけど、私よりリーチが長いから、どんどん前に出て距離を詰めて殴るしかないかなと思いました。でもまあ、勝てますね。私も大会に出場しているほかの選手たちと同じように、極限のなかで戦って輝きたいです。それから……前田さんにお聞きしたかったのですが、当日はヘッドギアをつけなくてもいいんですよね?」

前田「うん、つけなくていいようにした。その分、安全面は俺たちがフォローしていくから」

山崎「ああ、よかった。ヘッドギアをつけて殴られても、あまり痛くないんですよ。というか、痛みが観客席に伝わらないようじゃ、戦っても意味ないですし、私の明日も見えてこない」

こりゃあ、とんでもないことになってきた。6月22日、ハンパできない女たちの明日を賭けたゴングが鳴る!

(撮影/本田雄士)

■THE OUTSIDER 第31戦開催日時:6月22日(日)15時開始(予定) 会場:ディファ有明 チケット情報:THE OUTSIDER事務局 TEL03-3461-6698(月~金11時~17時)