キューバ政府が自国選手の海外移籍(メジャーリーグは除く)を認めたことで、日本球界にもキューバからの“直輸入選手”が現れた。第1号となった巨人のフレデリク・セペダに続き、DeNAが獲得したのが“キューバ野球の至宝”と称される内野手のユリエスキ・グリエルだ。

中距離打者タイプだがパワーも兼ね備えており、当たれば軽くスタンドイン。キューバの国内リーグでは通算1087試合に出場して打率3割3分3厘、235本塁打、934打点という輝かしい成績を残し、国際大会でも2004年のアテネ五輪からキューバ打線の中核を担ってきた。

来日後も6月8日のデビュー戦で3安打、3試合目で初本塁打を放つなど滑り出しも順調。こりゃあホンモノだ……と思いきや、専門家たちの見方はかなりシビアなのだという。

「たぶんダメじゃないかな。まだ30歳だけど、キューバリーグではピークを過ぎた選手との評価。ブルブル振り回すし、選球眼もあまりよくない。致命的なのは外角の変化球にもろい点」(パ・リーグ某球団の外国人担当スカウト)

実はこうした欠点は、グリエルがキューバ代表として出場した昨年の第3回WBCの時点で、日本代表関係者からも指摘されていた。打順も6番、7番が多く、かつてのような“中心選手”とは言い難い扱いだったのだ。

「性格的にもムラッ気が強く、キューバ料理ばかり好む“偏食家”。現に昨年のWBCで来日した際は体重が減ったそうだ。日本に順応できるかどうか疑問だね」(前出・外国人担当スカウト)

元々いる日本人選手も犠牲に

交流戦明けから対戦するセ・リーグ某球団のスコアラーも、すでに彼の弱点を見抜いている。

「左投手からは少し打てるかもしれないが、右投手はコントロールミスさえなければ、そう打たれるようなスイングじゃない。おそらくシーズン終了時点で本塁打は12、13本。打率は2割3分に届くかどうかってとこかな」

また、グリエルの起用により、ほかの選手がはじき出されるという弊害もある。サードで使えばバルディリスの行き場がなくなるし、セカンドなら石川を外野に移すことになり、せっかく芽が出始めたレフトの和製大砲・筒香(つつごう)があおりを食う可能性も十分にある。

グリエルよりひと足先に来日した巨人のセペダも、デビューからもうすぐ1ヵ月がたつが、目立つのはレフト守備のミスばかり。打率は1割台に低迷し、早くもスタメン落ちしてしまった。

「そもそも、キューバ代表で指名打者専門だったセペダを守備につかせるのはムチャな話(苦笑)。それに、メジャー関係者に言わせれば、『日本が獲ったのは、メジャーがリストから外した選手ばかり』。結局、働き盛りの選手は亡命してでもメジャーに行くんですよ」(前出・外国人担当スカウト)

打てないだけならまだいいが、獲得によってチームが大混乱……なんて事態は避けたいところだ。