アシカとお昼寝。いっぱいのアシカちゃんたちは観光客に囲まれても安心しながらずーっと寝てました。ぐーたら

一時帰国して、はや1週間。日本のサービスの丁寧さや治安の良さに、あらためて驚かされているマリーシャです。

買い物をすればキレイな包装紙や袋に何重にも包んでくれたり、電車にはカバンを開けっ放しで居眠りする人がいたり、電話をすれば丁寧すぎるあいさつの往復が会話のほとんどだったり……。

そして物価の高さにも驚愕(がく)! 某セレクトショップでミサンガみたいのが1万円くらいだったのには思わず吹き出しちゃった。

そんな先進国日本で、あいかわらずガラパゴス携帯、通称ガラケーを使ってる私。だから、というわけではないんですが……ハイ。何を隠そう、南米滞在中に行ってました! ガラパゴス諸島! 今回は、ブラジルW杯のため後回しにしていた、動物たちの楽園・ガラパゴスの話を聞いてください。

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ガラパゴス諸島へは、エクアドルのグアヤキルから飛行機で約1時間半。エクアドルといえば、昨年末に日本人が巻き込まれた忌(い)まわしい事件も記憶に新しい。ルートから外そうか迷ったけど、ガラパゴスに行くには避けて通れずペルーのリマを出発した。

正直、治安面でかなりビビッていたけど、リマの宿で知り合ったエクアドル人のクリスが心強い味方になってくれた。

バスチケットを買うとき、発券プリンタの故障で店をたらいまわしにされるトラブルを乗り越えられたのも彼のおかげ。一緒に長距離バスに乗り込み、ペルーからエクアドルの国境を越え、30時間弱で着いたエクアドル最大の都市・グアヤキルでハグをして別れた。

第一印象とは大切なもので、彼のおかげで私にとってエクアドル人のイメージは良いものに。私たち旅人も日本代表。あらためて気をつけなきゃね。

エクアドルへは海沿いを走っていく。左側は海でこんな景色が続く

ここからがエクアドル! 国境だー!

バスターミナルから宿まではタクシーを使う。日本人カップルが事件に巻きこまれたのは、まさにここグアヤキルのタクシーでのこと。不安だけど冷静に交渉しよう。

優しそうなおじちゃんをねらって「この住所までいくら?」と聞くと、当たり前のように「$7だね」。相場より高い。別のお兄さんにも聞くと$3と事前情報どおりだったので、こちらに乗った。目的地に着くまでドキドキしたけど、難なく宿に到着できてひと安心。

ちなみにエクアドルの通貨は慣れ親しんでいるUSドル。旅でコロコロかわる通貨計算の煩雑さから解放されたのもうれしい。宿に着くとホッとしたからか、すぐにおなかが減ってきた。まるでアメリカみたいな近所の大型スーパーでドカドカ食料を購入、しっかりパワーをつけてガラパゴスに挑もう!

グアヤキルのスーパーは大きくて、ドルが使えるのでまるでアメリカのよう

堂々として自由な動物たちにビックリ

そして、ついにやってきましたガラパゴス諸島! ツーリストカード$10、入島料$100を払い、空港からバス→船→バスと乗り継いで、中心地であるサンタ・クルス島の街へ。

さまざまな動物たちが独自の進化をとげながら生き続けるガラパゴス。さぞかし手付かずの大自然で、ワイルドな生活を強(し)いられるのかと思っていたら、宿には弱いけどWi-fiもあるし、シャワーもお湯だし、おみやげ店もいっぱい。けっこう観光地化されてるんだなー。これには安心しつつも、イメージとのギャップを感じた。

ここで私が最初に出会ったキャストはカッショクペリカン。港の漁師たちの周りで、野生的なペリカンたちは翼をバサバサと広げ、低空を仰ぎながら獲物を狙ってる。お行儀の良い子はおこぼれを並んで待つ。列の先頭にはアシカちゃんの姿も。

漁師vsカッショクペリカン。翼が大きいので近くでバサバサやられると怖い

漁師からのおこぼれに列を成す良い子たち。一緒に並んでみました

ガラパゴス諸島では動物を保護するため、彼らにタッチしちゃいけない。だから動物たちは安心してそこいらをウロウロできるし、全く人間を恐れてない。その堂々っぷりと図々しさには、こっちがビビっちゃいました(笑)。

「進化論」で有名なダーウィン博物館では、最後の1匹だったビンタ・ゾウガメ「ロンサム・ジョージ」の墓標を拝み、ゾウガメ、リクイグアナのお食事シーンに立ち会う。

ノロマなわりに攻撃的な造形をしたゾウガメの正面顔。丸い鼻の穴があまりにかわいいので、思わず葉っぱの茎を差し込んでやりたくなったけど、ガラパゴス諸島から追い出されたらいやなので我慢した。

ノロさとは似合わない鋭い目つき。鼻の穴が気になるー笑

リクイグアナは黄色から赤のグラデーションがオシャレ。質感もおもしろい

離島ではもっとたくさんのガラパゴス動物たちに会えるというもんだから、そりゃあ行きたいんだけども、通称「ゲロ船」と呼ばれるとんでもなく上下左右にジャンプするスピード船に乗るのが必須。

三半規管の弱い私は、早朝出発のゲロ船になるべく胃の中を空っぽにして挑んだ。周りに迷惑かけぬよう、目をつぶって寝てしまおうと努力したけれど、船は容赦なくジャンプして、お尻は浮くし頭はぶつける。

体格の良い海外勢もビニール袋を握りしめ、青ざめた顔。そんななか、隣りで「キャッキャッ!」と騒ぐのは最年長と思われるママ。息子2人と一緒でご機嫌な彼女は、ジャンプするたびに「I love it!」と叫ぶ。息子たちは「ママ!静かにしてよ」と困り顔でソーリーと謝るけど、そのファンキーママのおかげで、頑張らなきゃなと2時間を耐え抜くことができた。

黄色い船はタクシーで、白い船が地獄のスピード船「ゲロ船」

ゲロ船にも動じない、オシャレでかわいいファンキーママ

貴重なカメの交尾シーンに遭遇!

そして着いたのはイザベラ島。初日は天気が悪いうえ、特に動物も見当たらない。「わざわざゲロ船にまで乗ってきたのに全く意味がなかった、帰りたい」というのが最初の気持ち。

けれど、翌日はピーカン。ビーチ沿いをテクテク歩いてて、思わず踏みそうになったのはマリン(海)イグアナ! 岩と同化したその姿に全く気付きませんでした。目を凝らすと、何匹ものイグアナが岩をなめたりかじったりしてる。怪獣みたいないでたちに、ミニサイズで良かったよと安心した。

思わず踏みそうになったマリンイグアナ。一ヵ所に15~20匹くらいいた!

散歩を続けると、動かぬピンクの物体が! フラミンゴだ! 偽物かと思うほど微動だにしない。その後、頭の上を飛ぶフラミンゴを初めて見た。その悠々たる姿はプテラノドンを思い出させ、まるで白亜紀に迷い込んでしまったかのよう。

ゾウガメ保護センターでは「ゴツッ。グゥー。ゴツッ。グゥー」という低い音が鳴り響いていた。音のするほうへ向かうと、貴重なカメの交尾シーンに遭遇! 甲羅どうしのぶつかる音と、オスガメのうなり声だったんだね。

「オスガメが大きいのは、メスガメを逃がさないためなんだよ」とセンターの人が教えてくれた。これはカメの繁殖にとっても大事なことらしく、彼らは満足そうに見届けている。が、観光客の一部は顔をしかめながら見ていた。

貴重なカメの交尾シーン。甲羅のゴツゴツぶつかる音と、カメの声を初めて聞いた

ほとんどのメインキャストには会えたのに、おみやげのデザインにもなっているアオアシカツオドリの姿だけが全然見当たらない。どうしても見つけたいと思い、私は必死にレンタルチャリをこいで島を探検しに出かけた。

そして、雨でぬかるんだ泥の地面をビーサンで越え、岩や湿った木の間をくぐり抜け、努力のかいあってついに見つけました!アオアシカツオドリ! まんまるお眼目のビックリ顔。その足はペンキで色をつけたように青かった。達・成・感♪

探し求めていたアオアシカツオドリ。鳥は飛んじゃうから見つけるのが大変!

雨のふる帰り道、頑張ったごほうびなのか、なんと野良のカメが! センターの壁の外で会いたかったので、これはうれしかったなー。しばらく一緒にノロノロ散歩したよ。

港に行くと、海でペンギンが泳いでたので思わず私も飛び込んじゃったよー! アシカの授乳シーンにも遭遇できた。ミルクで満腹の赤ちゃんと同じく、私もガラパゴスでおなかいっぱいに。でも、満たされた気分でゲロ船に乗りこんだら、動物たちと過ごした美しいガラパゴスの思い出もあやうく苦い思い出になりかけた。

奇跡の出会い。雨の降る中、一緒にノロノロとお散歩をしたゾウガメちゃん

ペンギンの群れが現れた! 急いで海に飛び込み一緒に泳いだ

ガラパゴス諸島は動物たちの楽園。けど、道路で車にひかれてる猫には誰も目もくれず、死骸もそのまま。周りに何もないような所に、何メートルかおきに馬が縄でつながれている光景も目撃した。珍しい動物だけ手厚く保護されているのかなと、ちょっと複雑な気分だった。

でも、保護するべきものを保護するというエクアドル政府の努力のかいあってか、一時は観光地化され危機遺産リストに入ってしまったガラパゴスも危機を脱したとか。これって、スゴイことだと思う。 人間は自然を壊すこともあるけど、守ることもできるんだね。私も日本の環境問題にもっと前向きになりたいな。

とかなんとか言いつつ、帰国した私は日本は忙しいという現実に直面し、「ガラパゴスのアシカは毎日ダラダラ寝ててうらやましいなー」と怠けたい願望を抱きながら、今日も生きてます。

こんなかわいいシーン見れるとは! アシカの赤ちゃんがミルク飲んでます

【This week’s Blue】ガラパゴスの海にもいました。オーストラリアで「ブルーボトル」と呼ばれる電気クラゲ。刺されないように注意!

●旅人マリーシャ平川真梨子。9月8日生まれ。東京出身。レースクイーンやダンサーなどの経験を経て、Sサイズモデルとしてテレビやwebなどで活動中。バックパックを背負う小さな世界旅行者。【http://ameblo.jp/marysha/】Twitter【marysha98】