高額紙幣を百円玉に替え、子供たちの冷たい視線をよそに猛然と出しまくったガチャガチャの山。よい子は決してマネしないように

ニッポンの景気は回復しつつあり、一部大手企業ではボーナスも増えてるらしい……。とはいえ、そんな恩恵など全く実感できないという人も少なくないはず。そこで、そんな閉塞感を打開するために自分で自分を鼓舞する“プチぜいたく”をしてみてはどうだろう?

手軽にできる“プチぜいたく”といえば、なんといっても大人買い。子供の頃、のどから手が出るほど欲しかったのに買えなかったあの悔しさに、今こそ“プチ財力”にモノをいわせてリベンジを果たせ!

■子供の頃の夢、ガチャガチャ全部出し!

大人買い! あぁ、なんて甘美な言葉だろう―。

今の生きづらい面倒な世の中で、「大人になってよかった」と思う機会なんてそうめったにあるものではない。受験、就職、婚活、転職、終活……。人生に悩みの種は尽きないなかで、「気楽だった子供の頃に戻りたい!」と思うのはごく自然な気持ちかもしれない。

そんなとき、時計の針を巻き戻して子供時代に戻ることはできないが、子供の頃の自分にリベンジするべく、大人げない大人買いをすることはできるのだ!

周囲の現役子供たちが向ける冷たい視線もなんのその! 自分で自分を奮い立たせるためにも、理性のリミッターを吹き飛ばした大人買いを実践してみよう! まずは、子供の頃の夢だったガチャガチャの“全部出し”だ。

小さい頃の自分は百円玉を握り締め、たった一度のチャンスに願いを込めてハンドルをガチャリ……。欲しいキャラが出てくることなんてまずないことはわかっていても、つい「今日こそは!」と祈っていた自分のピュアさが憎い。

今の子供たちも同じ心理なのだろう。200円を握り締めて、『妖怪ウォッチ』のガチャガチャで一喜一憂している。いや、二憂三憂四憂……。何度やっても出てくるのはコンブさんばかり。本当にジバニャンやキュウビは出てくるのか……?

羨望のまなざしで見つめる子供たち

しか~し、大人にはそんな迷いやためらいなど、一切必要ない!

「全部出しちゃえばいいじゃん!」と一万円札を百円玉に両替して、イッキに出しまくる!

「コンブさん」「コンブさん」「コンブさん」「コンブさん」「コンブさん」……「ジバニャン!」

「コンブさん」「コンブさん」「コンブさん」「コンブさん」……「キュウビ!」「コンブさん」「コンブさん」「コンブさん」「コンブさん」「コンブさん」……。

早くも手持ちの百円玉が尽きてしまったので、追加で5000円を両替。さすがに「コンブさん」も力尽きたのか、ほかのキャラも出始める。

結局、一台の機械から全部のカプセルを出し尽くすのに1万3800円。子供にとっては天文学的な大金だが、大人には適度に“プチぜいたく”な金額だ。つくづく大人になってよかったと思った瞬間だった。

いつの間にか周囲に集まってきた見物の子供たちにコンブさんの群れを押しつけて、さっそうとその場を立ち去る。

羨望のまなざしで見つめる子供たちの「おっちゃん、ナニモノ?」「なんでこんなことしてるの?」という質問に、「週刊プレイボーイの取材なんだよ」と説明すると、「ボクもおおきくなったら、しゅうかんぷれいぼーいのひとになる!」と目を輝かせて答えてくれた。週プレにとって、素晴らしいリクルート活動になっただろうか。

よっちゃんの高級するめを買い占め

■駄菓子屋の品も箱買いするとけっこう高価

勢いに乗ったまま、今度は駄菓子屋さんに突入!

かつて憧れだった商品の全部買いをやってみる。駄菓子屋の食べ物で子供たち垂涎(すいぜん)の品といえば、よっちゃん食品工業の高級するめ「けんこうかむかむ」だ!

売価10円が主流の駄菓子界にあって、破格ともいえる60円。口に含めば、その価格も納得できるセレブの味わいだ。さっそく1瓶40枚丸ごと大人買い……と思ったら、奥にも何本か瓶が置いてあるのが見えた。

「おばちゃん、これ1箱だと何瓶入りなの?」

「8瓶入りだよ」

迷わず「全部ちょうだい!」と買い占める。けんこうかむかむ320枚。これで当分するめに困ることはないだろう。お値段1万9200円なり。

奥のストック棚には、するめ、串かつなどがズラリ

続いて、駄菓子屋の華である当て物をイッキ買い! とりあえず妖怪ウォッチ当て物と、ふなっしー&くまモン当て物を丸ごと購入!

クジを見てみると、景品20個に対して当たり20枚、ハズレ60枚が標準でついている。でも、なぜかさらに20枚のハズレが余分に付属。このハズレ20枚を店の方針によって好きな分量だけ交ぜ、当たり率を調整する仕組みらしい。やろうと思えば、ハズレクジを増やして当たりをゼロにすることも可能だ。子供の頃に知っていれば……。各4000円なり。

ゆるキャラの当て物。全部買えばクジも関係なし!

「100円マックのハンバーガーを200個ください!」

最後に、駄菓子屋のなかでは高額玩具となるブリキのロボット大と小を箱買いしてみる。小ロボット12個×400円=4800円、大ロボット6個×800円=4800円。小銭商売と思っていた駄菓子屋だが、まとめて買うと案外大きな金額になる。

ちなみに新規開業用に仕入れるとなると、小規模な店でも商品代で150万円ほどかかるという。これが駄菓子屋の商品を丸ごと全部買いした場合の価格ってことか(笑)。

のどが渇いたので自販機でジュースを買う。ここでも当然、全部買いだ!

丸ごと箱買いしたブリキのロボット(小)12個で4800円。同じのが2個あったり、1個だけだったり、その基準はよくわからない(笑)

「30セレ」と呼ばれる中くらいのサイズの自販機だと、1商品を全部出し切るのに27本だった。130円×27本=3510円なり。

もし自販機に入っている全商品を出すとなると、160円のペットボトル商品も含めて800本以上となる。ペットボトルと缶の組み合わせにもよるが、自販機1台から全部出し切るには10万5000円前後が必要となるため、それなりの覚悟が必要だ。

最後に、マクドナルドで腹ごしらえをしよう!

マックでのバイト経験者によると、小規模店ではストックヤードのスペース上、100円マックのハンバーガーの常時在庫は200個程度とのこと。ならば、と注文してみる。

「スミマセン、100円マックのハンバーガーを200個ください!」

しばしスタッフが店の奥で相談した結果、「2時間ほどお時間をいただけますか……」とのこと。

2時間後、今まで見たことのないグレーのプラスチック製配送トレーいっぱいに載せられた100円マックを受け取り、仲間を集めて食べた。100円ハンバーガーの店ごと全部買いは2万円なり!

あぁ、大人買いは最高に楽しい。やっぱり子供じゃなく大人でよかったぞ!

(取材・文/ダカーポ)

大人買いしたマックのハンバーガー。当然ながら、飽きます……