甲子園では女性ファンから握手を求められるほどの有名人となったラガーさん

夏の風物詩として誰もが認める甲子園。そこで近年、春のセンバツとともに自らが風物詩化している“ラガーさん”をご存知だろうか。ラガーシャツを着て、全試合をバックネット裏から観戦、テレビ中継に必ず映っている人物として有名なのだ。いったい何者なのか……本人に直撃した!

■「印象に残っている試合? うーん、“決勝戦”ですね」

――えー、まずは自己紹介をお願いできますか?

ラガー はい。甲子園のバックネット裏の最前列で、高校野球全試合を観戦している「ラガーさん」です。

――いつもラガーシャツで観戦している姿がテレビ中継に映っていますね。大会中は試合が終わると、翌日に備えて入り口で並ぶんですか?

ラガー はい。高校野球は自由席なので、翌日も最前列に座るために「8号門」前に並んで野宿します。同じ目的で集まった「8号門クラブ」の仲間と協力して荷物を見張ったり、衣食をしのいでいます。

――全試合見るようになったのは、いつからですか?

ラガー 1999年からです。でも、全試合ということでなければ、KKコンビの時代からですよ。本を出しているので、詳しい観戦歴はそちらを読んでください!

偽者“ラガーさん”に困惑

――今でも印象に残っているのは、どの試合ですか?

ラガー う~ん、実は僕、決勝戦が大好きなんですよ。優勝の瞬間を近くで見たいから、毎年、全試合見ているようなものなんです。だから、決勝戦はみんな思い出深いです。松坂大輔のノーヒットノーランとかね。田中将大と斎藤佑樹のときは、予定外の再試合で着替えがなくなっちゃって(笑)。あと、日本文理と中京大中京の熱戦もすごかった。興南の春夏連覇のときは球場内でウエーブが起きて、もちろん僕も加わりましたよ。

――選手では?

ラガー 辻内崇伸(たかのぶ)ですかね。体がゴツくて、甲子園では速かったなぁ。プロでは全然ダメだったけど。

――ラガーさんは、何歳まで全試合観戦を続けますか?

ラガー 体がもつ限りは続けたいです。僕は応援で選手にエネルギーを送っていますが、その分、感動という形で選手から元気をもらっています。

――でも最近、ニセのラガーさんが現れるらしいですね?

ラガー そうらしいんですよ! 地方予選に。これはちょっと困ってるんだよなぁ。

ラガーさん(本名:善養寺[ぜんようじ]隆一)1966年生まれ、東京都出身。黄色の帽子にラガーシャツ姿で甲子園を観戦するオジさん。『ラガーさんの嗚呼、青春の甲子園あるある』(オークラ出版)が発売中

(取材・文/キビタキビオ 取材協力/寺崎 敦)

■週刊プレイボーイ34・35合併号「野球好き上司と盛り上がって出世しよう!夏の甲子園 伝説の瞬間」より(本誌では、年代ごとの名勝負をピックアップし詳説!)