若手サラリーマンのなかには“自分をよく思っていない上司”に悩まされている人も多いのではないだろうか?

「夏休みだけど、あの上司のことを思い出すと心がモヤモヤして……」。

そんなあなたに朗報! 夏休み明けこそ、上司との関係を修復する大チャンスなのだ!

サラリーマンの処世術に詳しい『気配りの正解』(ダイヤモンド社)の著者・後田(うしろだ)良輔氏はこう語る。

「『時が解決する』という言葉がありますが、上司が部下に抱いている負の感情も、一定期間、顔を合わせずにいることで沈静化するもの。感情的になって部下に冷たい態度を取っていた上司も、夏休み明け(=久しぶりに会うタイミング)にこちらの改心ぶりを見せれば、心を開いてくれる可能性は高いです」

ぜひこの機を逃さずに上司との関係を修復し、2014年の残り4ヵ月を前向きな気持ちでスタートさせたいところだ。

では、実際に若手サラリーマンから「上司に関する悩み」を集め、それぞれの対策を検証してみよう! まずは、かなり気まずい状況でも関係修復の第一歩を踏み出せるようにこんな相談から……。

Q.1 「嫌われ始めてから1年以上たっていて、今では原因も忘れてしまったのですが、その間にも関係はどんどん悪化……。話しかけてもほぼ無視、目を合わせるのも困難なくらいです。話すきっかけはどうやってつくればいいのでしょう?」(保険・25歳)

「プライベートであれば修復困難なこのような関係も、職場であれば改善可能です。無視されてしまうということですが、社会人ですので、彼の上司やかわいがっている後輩などの第三者がいる場で話しかければ、大人の対応をしてくれるでしょう。直接ランチや飲みに誘うようなことはせず、まずはその第三者に事情を伝え、企画&同席してもらうようにするのがスムーズに事を進める秘訣です。

また関係修復へのジャブとして『お疲れさまです』などの挨拶(あいさつ)を重ねるのも有効。出社時はもちろんですが、トイレや喫煙所、コピー機の前などで遭遇した際、逃げることなく、欠かさずひと言『お疲れさまです』と声をかけるよう意識することで、少しずつですが距離が縮まりますよ」(前出・後田氏)

オススメの本を上司に聞いてみる!

Q.2 「自分の責任なのですが、遅刻が多かったり、仕事のミスを隠して、それがバレるといったことを重ねた結果、上司の目が冷たいです」(広告・34歳)

「報連相(報告・連絡・相談)を怠る、遅刻を重ねるなど勤務態度によって関係が悪化してしまった場合は、やはり仕事に対する姿勢の変化を見せなければなりません。日焼けしがちな夏休み明けは、まず見た目に注意が必要です。油断すると『仕事を軽視している感』が出てしまうものなので、気を引き締めて、髪を短く切る、暑くてもネクタイをするなど、わかりやすく『改心アピール』できる外見を意識しておきましょう。

さらに仕事へのやる気をアピールするのであれば、上司にオススメのビジネス書を教えてもらうといいです。『休み中にビジネス書を読むようになり、次は何を読もうかと思っているのですが、◯◯さんのオススメはありますか?』と聞けば、上司への尊敬の気持ちが伝わる上、好みのビジネススタイルもわかります。しっかり実践すれば評価も挽回できるのでは?」(『「さとり世代」の消費とホンネ』(PHP研究所)の著者で世代評論家の牛窪(うしくぼ)恵氏。)

確かに、この嫌われケースは明らかに自分側が悪いので、改心アピールでなんとかなりそう。では、こんなウザい上司の場合はどう対処すればいいのか?

Q.3 「上司があまりに理不尽に仕事を押しつけてくるため、キレてしまいました。それ以来、重要な仕事は一切任せてもらえません」(商社・31歳)

「一度キレてしまった相手を持ち上げても、わざとらしくなってしまうだけです。この場合は自分を下げる『未熟者アピール』が有効。『この休み中もカッとなって友達とケンカになってしまい……わがままな性格を直したいです』など、自分の未熟さに気づいているという態度を見せれば、上司も歩み寄ってくれると思いますよ」(前出・牛窪氏)

続いて、若手サラリーマンにかなり多かった、こんなお悩みだ。

Q.4 「お酒の席で酔っぱらって失礼な発言をしてしまいました。本心ではなかったのですが、謝った後も気まずさは解消されていません……」(銀行・27歳)

「表面上は和解しているけど、しこりが残っている……そんなときは『裸の付き合い』がオススメです。複数人でも構わないので、もう一度飲む機会をつくれたら、2次会のタイミングでサウナに誘ってみてください。男は“ち○こ”を見せ合うとなぜか結託感が生まれるものです。サウナはペラペラと話をする環境ではなく、無駄な会話も必要ありませんので」(前出・後田氏)

男なら、この「裸の付き合い」の意味がよくわかるはずだ。では逆に、飲みに行かなかったことで関係が悪化した場合はどうすればいい?

休み中の不幸話で情に訴える?

Q.5 「嫁が厳しく、なかなか上司の飲みに付き合えないのですが、誘いを断り続けていたら、いつの間にかまったく誘われなくなり、仲間はずれに……」(公務員・30歳)

「突然の飲みや休日のゴルフなどプライベートの誘いを断る若手社員が多いようです。ただ、上司の世代からすると『俺のことをなんだと思っているんだ! 尊敬していないんだな?』と思えてしまうもの。そんなとき、夏休み明けに使えるのが“休み中の不幸話”。プライベートのツラさを伝えることで、普段仕方なく上司の誘いを断っていることも同時にアピールできます。

相談者の場合でしたら『旅行先でも妻がエステに行っている間、僕はずっと子守り……お土産を買うお金ももらえず』など、奥さんに虐(しいた)げられているエピソードを話せば『こいつも大変なんだな』と少なからず情がわくはずです」(牛窪氏)

さて、ではかなり厄介な“派閥問題”についてはどうだろう。

Q.6 「部内に派閥があり、僕が属していない派閥の上司と仕事をするときの当たられ方がツラいです。その上司のことを嫌いなわけではないのですが」(食品・32歳)

「派閥問題は、会社によっては非常にヘビーな悩みです。この上司も『どうせ裏で、俺の悪口言ってるんだろ』と思っているため、つっけんどんな対応になってしまうのでしょう。では、そんなときに相談すべき相手は誰かというと、派閥とは無関係な位置にいる“女性社員”です。この“女性社員”にお願いして、適当な名目でランチの席を設けてもらいましょう。

飲みの席だと、酔ってくるとどうしても“派閥や敵対している上司の話”になりがちなので、ランチの場で『スパゲティよく食べるんですか?』などライトな話題を積極的にふって、敵意がないことを伝えられれば風当たりはだいぶ変わると思います。万が一、派閥の上司に食事に行ったことがバレても、『女性社員に誘われて仕方なく』と言えば、女性相手に大人げなく怒る男性もいないと思いますよ」(牛窪氏)

自分だけでなんとかしようとせず、他人の力を借りてうまく“根回し”するのは仲直りの常套(じょうとう)手段だ。

最後に、牛窪氏からこんな助言をいただいた。

「30代後半から40代の中間管理職世代は職場、家庭の両方からさまざまなストレスを受けているため、常にイライラしているもの。わざわざ部下に気を使ってこちらから話しかける余裕がないことがほとんどです。また、上司としてのプライドがあるため、こちらから歩み寄るのも恥ずかしい。そんな状況を部下側が放置すると溝は深まるばかりです。

なので、過剰に警戒せず思い切って、こちらから話しかけてみてください! 案外、自分のことをそんなに嫌いではなかったとか、上司のほうも仲直りしたかったという話も多いと聞きますよ」

(取材/黄 孟志)

■週刊プレイボーイ34・35合併号「『自分のことが嫌いな上司』と仲直りする10の方法」より