2013年度に全国の消費生活センターや国民生活センターに相談が寄せられた、エロサイトのワンクリック詐欺などの被害総額は3億7940万2891円で、そのうちの1億8464万7716円が女性被害者によるものだった!

アダルトサイトなどを訪れた際、画像や動画再生のボタンをクリックするだけで、法外な料金を請求される「ワンクリ詐欺」。スマホの普及もあり、エロ動画との距離がぐっと縮まったとはいえ、それほど女性も急増していたとは……。しかし、実はその入り口は特定のエロサイトだけではない。

最近では、こんなケースもあるという。

 ●芸能系ブログから詐欺サイトに入ってしまったE美の場合

E美「私は芸能人の熱愛とか過去写真の流出ネタをよく見るんです。つい最近、ある女優の整形前後の比較写真はコチラってリンクをクリックしたら請求画面が出ました。もう慣れっこなんで驚かないけど。あとは芸能人のハメ撮り写真流出とか女優の劣化写真とか、裏話や噂話とかの情報ブログのリンクから飛ぶと……ってパターンが多いかな」

情報処理推進機構(IPA)の加賀谷伸一郎氏に、こうした意外なワンクリ詐欺サイトへの入り口について解説してもらおう。

「ワンクリ詐欺サイトの手口は10年前からほぼ変わっていませんが、その入り口が多様化しています。芸能人のゴシップ系ブログはもちろん、投資情報やパチンコに競馬、ソーシャルゲームの攻略情報サイトなどにもその入り口がある場合も。

詐欺サイト業者は常にYahoo!の急上昇ワードをチェックし、それに関連したブログを書くなどして詐欺サイトを検索結果の上位に表示させようと手をかけているようです。あらゆるサイトに詐欺サイトへの落とし穴があるといえます」

さらに、もう一例紹介しよう。

アプリを起動しただけでも導入?

●エロ系アプリから詐欺サイトに入ってしまったF子の場合

F子「エロアニメが好きでAndroidのエロアニメ動画集みたいなアプリをダウンロードしたんです。で、アプリを起動したら変なエロサイトに入って料金請求されて、すごいテンパった!」

アプリから詐欺サイトに入ってしまうとは、どういうことか?

「これはアダルトサイトに誘導するだけのアプリですね。アプリ自体にはそれ以外の機能はありません。Androidアプリの公式マーケットで公開されているものなので不審かどうかの判断は難しいですが、今年6月にAndroidのアダルト系アプリが大幅規制されたようなので、かなり減ったとは思います」(前出・加賀谷氏)

仮にワンクリ請求アプリを入れてしまった場合の処理法は?

「スマホでは、ブラウザの閲覧履歴を削除すれば請求画面が表示されなくなります。その後、アプリをアンインストールしましょう」(加賀谷氏)

このほかにも要注意アプリは?

「アプリそのものが要注意ではないですが、TwitterLINEなどの無料通話アプリが悪用されてワンクリ詐欺サイトに誘導されることもあります。Twitterならアダルト関係のキーワードを含んだツイートにワンクリ詐欺サイトのURLが貼られていたり、LINEのメッセージでアダルトサイトと見せかけたワンクリ詐欺サイトのURLが貼られていたりなどです」(加賀谷氏)

では、今後もし自分たちのPCやスマホでワンクリ詐欺サイトの請求画面が出てしまったら、どう対処すればいいのだろうか?

「ワンクリ詐欺業者はあたかも個人情報を取得済みかのように支払いを迫るケースがほとんどですが、PCやスマホで偶然アクセスしたのであれば、サイト側で把握できるのはIPアドレスやプロバイダ名などのみ。仮にワンクリ詐欺業者がプロバイダ側に個人情報を開示するよう求めても、そこで情報開示されることはあり得ません。

ですので、問い合わせ番号などに電話して自ら個人情報を漏らさないようにしましょう。請求メールなどが来たとしても、無視し続けていればいいのです」(加賀谷氏)

この夏、10代の女のコたちも被害急増!

国民生活センターによれば、夏からワンクリ詐欺などエロサイトの相談が増えるとか。同センター相談情報部の遠藤陽介氏は言う。

「この7、8月は毎日70件前後の相談が女性から寄せられました。特に夏休み中は普段相談の少ない10代の女子学生からも多く見受けられました。もちろん、20代から40代まであらゆる年齢層の女性からの相談もありますが、一様にかなり焦った様子で相談されてきますね」

ではこの夏、特に多い相談はどんな内容でした?

「去年くらいから増えていて気がかりなのは、“ワンクリ詐欺サイトとの解約交渉をうたう業者”に関する相談です。これは検索サイトなどで『ワンクリ詐欺救済法』や『悪質商法被害相談窓口』といった文言で検索した人を狙って集客し、5万円前後で解約交渉や解決をする、という業者のようです。実際に業者に5万円を払ってしまって“本当に解決してくれるんだろうか”と相談される方もいます。

しかしその後、それで根本的に解決できたかわかりませんし、われわれもそのような業者の実態を把握するのは難しい。ただ、法的に解約交渉ができる立場といえば通常は弁護士です。しかしその業者のサイトを見ても弁護士ではなさそうです。このような怪しい業者に安易に相談しない、解決費を支払わないことが大事です」

次々と出てくる詐欺の手口……。特定のサイトだけでなく、ナゾの交渉業者にも用心が必要なようだ。

(取材/クリック桃子)

■週刊プレイボーイ37号「エロ動画好きオンナたちの緊急座談会 『私たち、コワすぎてオナニーする気が失せました(泣)』」より