カプコン・辻本社長「これからもいい意味で期待を裏切っていきます!」

大ヒット作品を連発するカプコンの代表取締役社長・辻本春弘氏。東京ゲームショーを前に独占インタビューを敢行、思い出の作品から、カプコンのブレないゲーム開発についてまで語ってもらった!

辻本 私の学生時代はアーケードゲームが主流でしたから、友人とゲームセンターに集まって『ファイナルファイト』をプレイしていましたね。ひとりで遊ぶだけではなく、みんなで遊んだり、上手な人のプレイを見ているだけでも楽しかった。その後に友人と攻略談議をしたりね。

──その当時と比較してユーザーのゲームの楽しみ方は変化しましたか?

辻本 “ゲームはひとりで遊ぶもの”という風潮の時代もありましたが、現在はモンスターハンターシリーズやソーシャルゲームなど、友人や仲間と楽しむ環境に再びなってきたと思いますね。

また、今年発売されたPS4は、PC同等のネットワーク環境の整ったマシンです。例えば、自分のプレイ動画をネットへ簡単に配信でき、それを見たユーザーさん同士がすぐにつながる。これは、私が学生時代に友人同士でゲームセンターでわいわいやっていたことを、ネットワークを通して実現していることになります。

ですので、“ゲームはひとりで遊ぶもの”という感覚でプレイしてきたユーザーさんにとっては新鮮であり、私みたいに昔のアーケードゲームからの人間には懐かしさを感じる環境かもしれません。

──ストリートファイターシリーズや逆転裁判シリーズなど、カプコン作品はいい意味で濃いキャラクターがそろっています。その理由は?

辻本 個性豊かなキャラクターと、それに伴うストーリーが両立することで、ユーザーさんがより感情移入できる作品になると思っています。例えば、逆転裁判シリーズなどは、「裁判をゲームにできるわけがない」と言われていましたが、よく作り込まれたテンポの良いシナリオ・個性的なキャラスターを入れることで、「法廷バトル」という新ジャンルを確立し、ヒット作となりました。

──では、既存のジャンル・スポーツゲームへの挑戦などは?

辻本 スポーツは難しいですね(笑)。現在のスポーツゲームは完全なリアル路線。例えば、サッカーをカプコンっぽく作ると、実在の選手のイメージとは異なる仕上がりになるかもしれません。これでは、サッカーファンに相手にされないでしょう(笑)。

やはり、カプコンが得意なのはオリジナルのキャラクターとストーリーを創出することです。その個性を生かして、コミックス、映画、舞台、パチンコ・パチスロ機など、コンテンツを多角的に展開しています。これがプコンの強みですね。「ゲームはやらないけど、パチスロはやる」というユーザーさんにもゲームをアピールすることができますからね。

これからも期待を裏切っていきます!

──さまざまなコンテンツを展開するのは、社内的な負担が大きいのでは?

辻本 もちろん大変です。しかし、映画製作に携わった社員は、そのマーケティングや制作方法に関するノウハウを経験でき、人材育成において大きなプラスになります。また、「カプコンに入れば、ゲームも映画もアニメも面白いことならなんでもできる」。これは、採用活動において大きな強みになります。

──新作ゲームの制作現場へ赴いて、直接チェックしたりは?

辻本 アドバイスはできますが、ゲーム業界の流れは速いですから、ユーザーさんの視点により近い現場の意見を優先しています。それが経営者の判断として正しいと考えています。

──では、最後にユーザーへ向けたメッセージを!

辻本 モンスターハンター、バイオハザード、逆転裁判など、最新作もいい意味で期待を裏切っていきます。そして、これからもカプコンならではのゲームを提供していきます。もちろん、ゲーム以外のエンタテインメントも積極的に企画しますので、ぜひご期待ください!

株式会社カプコン代表取締役社長・COO 辻本春弘2007年より、カプコンの代表取締役社長に就任。好きなゲームは『バイオハザード5』。「でも、嫁さんや娘のほうが、ぜんぜんうまいんですよ」

(取材・文/直井裕太 撮影/下城英悟)

■週刊プレイボーイ39号「東京ゲームショウ直前! カプコン メガヒットゲーム超速公開!」より(本誌では、人気ゲームシリーズの新作を最新画像とともに紹介!)