9月19日、スコットランドの独立が住民投票により否決された。しかし、この運動に刺激され、世界各地で「独立問題」は過熱。それは日本でも他人事や“対岸の火事”ではなかった。

実は、住民投票を目前に控えた9月15日付のイギリスの新聞、『ガーディアン(電子版)』に「スコットランド独立運動に触発される沖縄独立運動」という見出しが躍っていたのだ。

「日本による植民地支配と不当な差別から脱するため沖縄の独立を訴える」琉球独立学会のメンバーらが、住民投票直前のスコットランドを訪れ、スコットランド国民党(SNP)などを訪問。沖縄の基地問題や独立への期待を語った記事が大きく掲載されたのである。

「スコットランドの独立に対し、イギリスのそのほかの地域や国際社会がどう反応するのかに注目しています。(中略)沖縄は長年にわたり日本本土から犠牲を強いられてきました。(中略)この問題を解決する唯一の手段は日本から独立し、日本に統合される以前の形に戻ることしかありません」

と、英紙の取材に答える琉球独立学会の友知政樹・沖縄国際大学教授。

もちろん、沖縄の独立運動が現時点で現実味を伴っているとは言い難い。しかし、2005年から2007年にかけて琉球大学の林泉忠教授が行なったアンケート調査によれば、「沖縄が独立すべき」と答えた人は「独立すべきではない」の64.7%に対して20.6%もいたという2007年のデータがある。少数派とはいえ、一般的な日本人の感覚からすれば、それなりにインパクトのある数字だ。

そして喜ぶのは中国のみ?

そして、忘れてはいけないのが沖縄県に属する「尖閣諸島」と、その周辺海域に眠る石油、天然ガスなどのエネルギー資源の存在だろう。今後、基地問題などで沖縄の民族意識が過熱し、本格的な独立運動に発展すれば、この問題も否応なく、「日中」のエネルギー資源囲い込みゲームにのみ込まれていく可能性があるのだ。

つまり、今はまだ“線香花火”程度の沖縄独立運動かもしれないが、そのすぐそばに、エネルギー資源という「ガソリン携行缶」があって、それがいつ引火爆発しないとも限らないのだ。

「沖縄が独立してうれしいと感じる国は世界でひとつ、中国です。実現可能かはともかく、沖縄独立運動を水面下で支援して、日本を混乱させるだけでも十分にメリットがある。当然、沖縄から米軍基地がなくなり、日本が分断されて国力が弱まるのは大歓迎。尖閣諸島も相手が沖縄なら1秒でケリがつく(笑)」(外務省キャリア官僚)

スコットランドの独立を単なる「対岸の火事」だと思っていると、思わぬ大やけどが身近で待っているかもしれないのである。

■週刊プレイボーイ40号「スコットランドに続くのはウイグル?カタルーニャ?沖縄!?」より(本誌では、エネルギー新世界地図が生み出した各地の独立運動も詳説)