先生曰く、「精力=筋骨隆々」という認識は間違い。恋をして性欲がわいて満足なセックスをできる、自然な欲望が大切だ

腸の役割は、食べたものの消化吸収だけじゃない。性器はそもそも腸から分化し、「やりたい!」「好き!」の感情は、なんと腸でつくられる物質によるものだった!

そして、脳内物質にも男性ホルモンにも免疫力にも、腸は非常に大きな役割を果たしているという。

「彼女いない歴=社会人歴」の本誌記者(30歳)が、東京医科歯科大学名誉教授・藤田紘一郎先に聞く「モテる内臓のつくり方」とは――?

【3】薬指の長い男は男性ホルモン多め

「精力」と聞いて思い浮かぶのは、やっぱり「男性ホルモン」です。

「もちろん、性ホルモンは性愛と密接な関係があります。恋愛というのは、神経伝達物質と性ホルモンの両方が作用していますから」

そもそも、男性ホルモンって何をする物質なんですか?

「例えば、男性ホルモンの代表格であるテストステロンという物質は、セックスしたいという衝動を引き起こすだけでなく、第二次成長期に骨格や筋肉を増強させるなど、男性の身体形成に幅広く作用します。

そもそも男性の性器は、母親の胎内で男性ホルモンを浴びてつくられます。まさに『男をつくるホルモン』なのです」

へえ。

「ちなみに、胎児期に男性ホルモンをたくさん浴びた人は、薬指が長くなる傾向があるんです」

じゃあ、薬指が長いヤツは男性ホルモンが強いと?

「逆に女性ホルモンを浴びると人さし指が長くなるという研究報告もあります」

へえ~~~!

「マッチョが絶倫」はウソ

「また、男性ホルモンの原料はコレステロールです。コレステロールは現代社会では悪者扱いですが、適量のコレステロールは必要なんですよ。

性欲が高まるとドーパミンが大量に分泌され、それがテストステロンの生成を促します。だから男性ホルモンも、腸でつくられる神経伝達物質と深い関係があるんですね」

【4】「マッチョが絶倫」はウソ

では、そもそも「精力」ってなんですか? 結局は体力と同じことなんでしょうか?

「精力というと筋骨隆々なイメージが強いですが、体力と精力は、無関係とは言わなくとも別モノです。『腕立て伏せ100回できる』と同じような意味で『ひと晩に何回ヤレるか』みたいなことを精力の尺度と考えるのも間違っています。

いくつになっても恋をして、自然に性欲がわき出て、満足なセックスができる。これが本当の意味での精力であると私は考えています。

女の人の裸を見て、おち○ちんが勃起するのも、腸でつくられた神経伝達物質が働いて脳がおち○ちんに性的興奮を伝えるからです。だから、筋トレやランニングでは勃起力はつきません。

人間の感情や気持ち、快不快などを決定する物質は、そのほとんどが腸でつくられている。つまり『精力=セックス力』は、腸と性器と脳、その三位一体の働きによるものなのです」

なんと、精力を高めるには、脳と性器と腸のバランスが大事だった! では、それを鍛えるには一体どうしたらいいのか? 明日配信予定の後編に続く!

●藤田紘一郎(ふじた・こういちろう)1939年生まれ、旧満州ハルビン出身。専門は寄生虫学、熱帯医学、感染免疫学。腸内細菌や免疫の探求を続けるなかで、早くから現代の「清潔すぎる社会」へ警鐘を鳴らしてきた。『笑うカイチュウ』『50歳からは炭水化物をやめなさい』『脳はバカ、腸はかしこい』など著書多数

(写真/Thinkstock)

■週刊プレイボーイ40号「東京医科歯科大学名誉教授 藤田紘一郎先生のモテる内蔵の作り方」より