ネット通販サイト『楽天市場』での利用が中心だった「楽天スーパーポイント」。だが、今月1日から、サークルKサンクスやミスタードーナツなどのリアル店舗でも、そのポイントを利用できるカードが誕生した。

その名も「Rポイントカード」

提携するリアル店舗で買い物や食事をし、このカードを提示すればポイントが貯まる。そうして貯めたポイントは再び楽天市場などで利用できる、といった異業種間の“共通ポイント”サービスに参入したのだ。

現在、ひとりでも多くの利用者を取り込むため、大増量ポイント還元中。Rポイントカードの公式サイトにいけば「ポイント還元2倍!」「10倍!」「だれでも50ポイント進呈」「1000ポイント進呈」などの勇ましい数字が軒並み並ぶ。

下着や靴下類のまとめ買い、酒類のダース買い、そのほか買う予定だった日用品や家具など、楽天市場を利用するだけで1万ポイント程度なら比較的ラクに貯まるはず。「そんなに買い物して、たった1万ポイント!?」と思うなかれ。サークルKサンクスで1万円分の買い物ができたり、ミスドで1万円分のドーナツが食べられると思えば、どんな数字か実感できるはず。

ほかに共通ポイントカードといえば、ファミリーマートなどで利用できる「Tカード」やローソンなどで使える「Ponta」などが先行しているが、迎え撃つこれらの陣営も黙ってはいない。例えば、Pontaはリクルートと提携し、『じゃらんnet』などを利用すると貯まる「リクルートポイント」との交換が可能になった。来春には完全な統合を予定している。

また、Tカード陣営のファミリーマートでも、使った金額に応じてポイント還元率が変わる“ファミランク”を導入するなど(例:月の使用金額が1万5000円以上でゴールドランクとなり、翌月のポイント還元率が200円につき3ポイントになる)、新しいサービスに着手。

それではなぜ、これほどまでに共通ポイントに注目が集まっているのだろうか。

IT系企業の拡大戦略でさらにサービス合戦は加速

「この動きを牽引しているのは大手ショッピングサイトを運営するIT系企業です」

そう語るのは『クレジットカード最強の法則』(徳間書店)などの著書がある、カード評論家の岩田昭男氏だ。

「せっかくポイントを貯めても、そのショッピングサイト内でしか使えないのでは使い勝手が悪く、なかなか認知度も上がりません。そうなると、今以上に利用者を増やすことも難しい。また、ネットショッピングにはなじみがなく、ほとんど利用しないという層も確実にいます。

そんな人たちがコンビニや飲食店、スーパーやデパートに行ったときに共通ポイントを知り、そのポイントがネットショッピングで利用できることを知れば、新たな利用者になってくれる可能性があるのです」

つまり、ネットショッピングで貯めたポイントをリアル店舗でも使えるようにすることで、逆にリアル店舗の利用者をショッピングサイトに引き込もうとしているということか。そこに参入した楽天は、共通ポイントをさらに進化させようとしている。

実はこの業界には“業種1社”という暗黙のルールがある。つまり、Tポイントがファミリーマートと手を組んでいる以上、ほかの共通ポイントはそことは提携できない。楽天がサークルKサンクスと提携したのは、そこが手つかずだったからにほかならない。そのほかの提携先が12社と寂しいのも同じ理由だ。

だが、楽天の三木谷社長はそんなルールにはこだわらず、提携先を増やしていくという。

前出の岩田氏は「今後、ポイントの統合はさらに進み、最終的には4つか5つの大きな共通ポイントに集約されるはず」と予測する。提携先の奪い合いはますます激化していくのだ。

争いが激しくなれば、それはサービス合戦となって利用者に還元されるはず。共通ポイントがこれからもっとお得になっていくのを期待したいものである。

(取材・文/井出尚志、高山恵[リーゼント])

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