1966年発売開始当時のパッケージ。「本場の味をご賞味ください」と“ご当地感”をアピール

即席麺の定番・サッポロ一番は、1966年に発売開始。同じく66年創刊の「週プレ」とは“同い年”なのである! 48年にわたり愛され続けている秘訣を、サンヨー食品に聞いた。

1964年に塩味の即席麺「長崎タンメン」をヒットさせたサンヨー食品が、定番のしょうゆ味市場に送り出した新商品が「サッポロ一番しょうゆ味」だった。同社の井田毅(たけし)前社長は、これに社運を賭けていた。

「井田自ら各地のラーメンを食べ歩いた末、札幌のラーメン店で見つけた味をベースに開発しました。発売当初から売れ行き好調で生産が追いつかず、卸屋のトラックが工場に横づけされ、梱包が終わると同時に小売店へ出荷される異例の事態になったと聞いています」(マーケティング部・水谷彰宏さん)。

ヒットの要因は大きくふたつあったという。

「ひとつは濃い味つけ。それまでの即席麺のしょうゆ味は、たとえるなら関東のそばやうどんのようなあっさりした薄味でした。ところが、当時の札幌のラーメンは本州と違い、ラードを使った濃い味わいが特徴で、井田はその濃厚さに着目。うまみを効かせたスープによく絡むよう、しょうゆを麺に練り込む“練り込み麺”を作り、先行品との差別化を図っていったのです。

ふたつ目は、ご当地グルメブームを先取りした“サッポロ一番”というネーミング。当時のCMでも旅情感や、おうちにいながら本場の味を楽しめるというメッセージを発信していきました」

そのCMでは業界初のエリアマーケティングを導入。関東のCMには人気上昇中だったドリフターズを、関西版では喜劇界の大物・曾我廼家明蝶(そがのや・めいちょう)を起用し、一気に売り上げを伸ばしていった。

社内でも謎! パッケージのマークの意味とは?

「以来48年、時代に合わせて麺に練り込む醤油の量を微調整するなどの見直しは行なっていますが、ベースとなる味わいを大きく変えたことはありません。同じくパッケージのデザインも、じっくり見ればわかる程度の微妙な変化にとどめています。

やはりサッポロ一番は、サンヨー食品にとって経営基盤を支える商品ですから、『変えないために少しずつ変える』といったニュアンスで、味と見た目を変えてきました。それがロングセラーの一因だと思います」

ちなみに、パッケージの右上にある青い矢印のようなマークには、どんな意味が?

「これはパッケージの中に“おや?”と思う違和感を入れたほうが目立つという井田のアイデアです。ただ、なんのマークかというと社内でも諸説あり、正解はわからないまま。一説には札幌の時計台をモチーフにしたのでは……ともいわれています」

ほかにも「五稜郭(ごりょうかく)の星ではないか」といった推察などあるが、真相は霧の中という、いかにもロングセラー商品らしいエピソード。というわけで、最後に本誌へのエールもいただきました!

「私たちの商品が胃袋をわしづかみにするのと同じように、週プレさんは男性読者の目と心をわしづかみにされてきたのだと思います。今後も心躍る記事とグラビアを楽しみにしています」

現在のパッケージ。右上の青い矢印のようなマークの意味は、社内でも諸説あるという

(取材・文/佐口賢作)

■週刊プレイボーイ43号「大特集 週プレと“同い年”の人気者に『愛され続けるための知恵』を学びに行く」より