10月23日、今年もプロ野球ドラフト“運命の1日”に一喜一憂、悲喜こもごも…新しいドラマの誕生に沸いた。あの選手がこんな下位指名? こんな選手よく知らないし…とファンも目利きが難しいだろうが、そこから後のスターが育つ楽しみもまた見どころだーー。

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思わぬ選手が期待以上の成長を見せるのもドラフトの醍醐味(だいごみ)だ。今季、右打者のシーズン最多安打記録を更新する193安打を放った山田哲人(てつと・履正社高)は4年前のヤクルト・ドラフト1位だが、斎藤佑樹(早稲田大)、塩見貴洋(たかひろ・八戸大)を外した末の「外れの外れ」だった。

また、下位指名の選手で「残りものに福」を感じさせるケースも多い。福浦和也(習志野高)は93年、ドラフト7位でロッテに指名されたが、その順番は総勢64人が指名されたこの年のドラフトで最後の最後。だが、1年目の途中で投手から野手へ転向すると打撃センスが開花して一軍に定着。2000本安打も視野に現役を続けている。

91年のドラフトではイチロー(愛工大名電高)がオリックス、中村紀洋(のりひろ・渋谷高)が近鉄、金本知憲(ともあき・東北福祉大)が広島からそろって4位で指名されたが、入団後は3人ともスーパースターとなった。

ほかにも、成瀬善久(横浜高)は03年ロッテ6巡目、攝津正(JR東日本東北)は08年ソフトバンク5位と下位指名だったが、各チームのエースとして現在も活躍中だ。

ちなみに、重複指名の抽選の順番にも「残りものには福」を感じさせることがある。松井秀喜だけでなく、8球団競合の野茂、5球団競合の松井裕樹(桐光学園高)のときも、最後の1枚が「当たりクジ」だった。

さて、今年の下位指名では春夏甲子園連覇の優勝投手として名を知られるも、大学進学後に不振でソフトバンク5位指名となった島袋洋奨投手(中大)などいるが、大化け予想をするのもまた楽しいものだ。

(取材/キビタキビオ 谷上史朗 取材協力/寺崎 敦)

■週刊プレイボーイ44号(10月20日発売)「総力特集13P! プロ野球ドラフト会議 伝説の瞬間」より(本誌では、江川問題からKKコンビの明暗ほか一挙紹介!)