子役時にはイジメに暴行、脅迫まで…「愛されたくて必死でした」と振り返って赤裸々に語る

安達祐実が花魁(おいらん)役で主演する映画『花宵道中(はなよいどうちゅう)』が11月8日(土)から公開される。公式ビジュアルブック『安達祐実 秘花』(小社刊)ではオールヌード初披露したことでも話題を呼んだ彼女を直撃した!

■こんな安達祐実、どうですか?

―公開される『花宵道中』では遊女を演じ、とても大胆な演技で……。まどろっこしいんで直球で聞きます。

安達 はい(笑)。

―劇中でのヌードが話題を呼んでいます。脱ぐことに躊躇(ためら)いはありませんでしたか?

安達 正直、それほど悩まなかったんです。ここ1、2年、いい作品があればヌードになる場面があっても挑戦してみようと思っていたので。そんなタイミングで今回お話をいただき、「今ならやれるな」と。

―撮影中も緊張しなかった?

安達 実際やるとなると、最初は恥ずかしさみたいなものが多少ありましたね(笑)。今はいよいよ公開という段階なので、見てくださる方がどんな反応をするんだろうって、撮影時とは別の緊張感があります。

―不安と期待、どちらが大きいですか?

安達 実は不安の割合は小さくて。それよりも、「私はこれだけやったんだ」って、そんな作品を発表できるうれしさのほうが大きいですね。

―ヌードという初めての挑戦には、賛否あると思うんですが……。

安達 いいんです。今までやっていなかったことをすれば、必ず批判もあると思うので。でも、失敗や批判を恐れていると、できないことも出てくる。それに、もし批判があったとしても、私はいろんな人生経験を経て、今ならそれを受け止めることができるし、もしくは受け流すことができる。そう思ったんです。

―覚悟はある、と。

安達 はい。何を言われてもいい。それでも、刺さる人に刺さってくれればって。

―なるほど。

安達 人が抱いている“安達祐実”というイメージを、最後の一枚じゃないですけど、もう一枚脱ぎ捨てたいんです。イメージを完全に破りきってしまいたい。「あなたが思っている安達祐実は、実は安達祐実じゃないかもしれないですよ」って投げかけたいというか。「こんな安達祐実、どうですか?」みたいな。

いつか誰かに殺されると思っていた…

■天才じゃないのは自分が一番わかってた

―実は、昔から見た目の幼さが大嫌いだったそうですね?

安達 以前は、コンプレックスの塊でしたから。童顔だっていうことで、すごく苦しみましたし。「なんでもっと面長に生まれなかったんだ!」「もうちょっと、背が高ければ」ってずっと思いながら生きてきたんで(笑)。

―“天才子役”と呼ばれた時代も、実はコンプレックスの塊だったんですか?

安達 何度も“天才”って書かれたり言われたりしていたんですけど、内心は「どうしよう……」って、ずっと思っていましたね。天才じゃないのは自分が一番わかっていたんで。いつ「こいつ天才じゃない」ってバレるんだろうって。

―『家なき子』の泣きの演技なんて、誰もが「天才!」と思ったと思いますよ。

安達 あの頃の涙って、実は目薬でしたからね。

―マジすか!

安達 初期は、そうでしたね。演技が全然できなくて。でも私は、演技が好きとか嫌いとかいうより、私の存在価値が演技することによってしか生まれないと思っていたので必死で。私は演技をしっかりするから愛されるんだって。仕事がなくなったら死ぬって、本気で思っていましたからね。

―そこまで思い詰めていたんですね。

安達 もう愛されたくて必死で。でも、中学ではイジメもあったし、街を歩いていると、いきなり「ブス!」って罵(ののし)られたりもして。すれ違いざまに急に殴られたりもしたんで、人混みが怖くて。中2くらいの時にはテレビ局に私宛てで爆弾が送りつけられてきたりもして。私は皆から好かれていないんだなって。当時は、いつか誰かに殺されるんだろうなって思ってました。

―今でも容姿はコンプレックスですか?

安達 今はルックスじゃないなというか。人間って“生きざま”だなって思うので。私、いろいろな経験をしたんで(笑)。それこそ、結婚をしたって、出産をしたって、離婚をしたって、本当に私を大切に思ってくれる人は簡単に離れていかないって実感できたというか。そういう出来事があった後に、自分がどう生きるかが大事なのかなって。

「とにかく私は行くところまで行きます」

―なるほど。

安達 万人に愛されなくてもいいんだ、大切な人たちに愛されれば、それで生きていけるっていうことがわかってきたんだと思います。

―以前、「生まれ変わっても安達祐実になりたい」と言ってました。今も思いますか?

安達 はい。いろいろありましたけどね(笑)。でも、いろいろなことが積み重なって今の自分ができていると思うと、愛(いと)おしいです。それぞれの出来事が。

―今、自分のこと好きですか?

安達 好きですね。私、たぶん、本当に好きですよ(笑)。

―では、失礼ながら強引にまとめると、今回の映画と写真集は芸歴30年の果てにたどり着いた現在地で、映画では新境地と肉体的な裸まで、写真集では精神的な裸までが見られるということでしょうか?

安達 ですね。私、今は心から演技が好きだって言えます。だから、中途半端で終わりたくないんです。このふたつの作品は、「とにかく私は行くところまで行きます」という決意表明です。

●安達祐実(あだち・ゆみ)1981年生まれ、東京都出身。2歳でモデルとしてデビューし、後に子役として活躍。テレビドラマ『家なき子』を演じたのは1994年、12歳のとき。以降、数多くの映画、ドラマ、舞台、CMに出演。日本を代表する演技派女優

■映画『花宵道中』11月8日(土)よりテアトル新宿ほか全国ロードショー江戸末期の吉原。人気女郎の朝霧(安達祐実)は、縁日で半次郎(淵上泰史)という青年と出会う。吉原で恋愛はご法度。心揺れる朝霧の前へ、さらに織物問屋を営む吉田屋(津田寛治)から朝霧の身請け話もやって来て―【http://hanayoidouchu.com/】

■映画『花宵道中』公式ビジュアルブック『安達祐実 秘花(ひめか)』前半の劇中写真と後半の撮り下ろし写真で構成。テーマは、「遊女」と「少女」。芸歴30年女優の裸の生きざまを、映画に先駆けて解禁する(集英社/1800円+税、発売中)【http://books.shueisha.co.jp/CGI/search/syousai_put.cgi?isbn_cd=978-4-08-780736-3&mode=1

(構成/水野光博 撮影/桑島智輝)