「たけしさんの写真を見て、ペイントだけで再現できそうと思った」とJIROさん。彼にかかれば20代の女性も右の通り。スゴすぎ!

普段、映画やドラマで何げなく見ているゾンビや死体。これらがリアルに怖~く見えるのは、特殊メイクアーティストの匠(たくみ)の技あってこそ。その特殊メイクアーティストの世界で、昨今、注目を集めている工房・自由廊に潜入した!

■美大卒ベースの実力で特殊メイク界を開く!

自由廊は2002年に設立された特殊メイク&特殊造形工房。人間の顔や体を変形させる特殊メイク、リアルマネキンや美術小道具まで、幅広い造形物のクリエイティブ活動を行なっている。

メルセデス・ベンツの新型GLAクラスからマリオが降りてくるCM「GO! GLA」では、マリオの特殊メイクとクリボーの造形を担当。ほかにも映画、ドラマやイベントなどその仕事は多岐にわたる。

「美大を卒業して作家になったとしても、アートに興味を持っている人にしか作品を見てもらうことができない。でも特殊メイクなら、作ったものを簡単に多くの人に見せることができる」

そんな思いから特殊メイクを学び、12年前に自由廊を設立した代表のJIROさん。デザイン画を描き起こせる強みはあったが、当初は紆余曲折も。

「やりたかった映画の仕事がとれなくて、リアルマネキンの制作などイベントの仕事が多かったです。でも、直接、見てもらえる作品を多く作ったおかげで、結果的に自分たちのクオリティを高めることができたと思います」

シリコンなど素材の向上もあるが、現在は「2、3mくらいの距離から会話しても、相手に特殊メイクがバレない」レベルの作品を作り上げているという。

オリジナルのクリーチャーの造形。デザイン画をそのまま立体にすると違和感があるため、彫刻の高い技術力が必要になるという

制作現場に潜入、リアルすぎてギョッ!

【リアルすぎてギョッ! あの造形物誕生の地へ】

工房の2F入り口にあった、マジシャンのセロのリアルマネキン。思わず「おじゃまします」と言いそうになった……

これまでに制作したさまざまな作品が。クリーチャー、猿人などリアルすぎるマスク類は夜に見たらビビること間違いなし

10名のスタッフがアトリエで働く。繊細で時間のかかりそうな作業を、おのおのが黙々と手を動かしてとりかかっていた

壁には、これまで型取りしたマスクがズラリ。造形に必要なシリコンやウレタンなど、普段なかなかお目にかかれない素材も

バルーン製の巨大な松井秀喜像! この顔の部分を自由廊が制作

アトリエには、上のときに使用した顔の型が。デカっ!

●「自由廊」代表 JIRO東京藝術大学卒業後、代々木アニメーション学院で特殊メイクを学び、2002年に有限会社自由廊を設立。『TVチャンピオン』の特殊メイク王選手権5・6連続優勝した

(取材・文/渡邉裕美 撮影協力/AMAZING SCHOOL JUR【http://www.特殊メイク学校.com】)