巷にあふれる青春映画とはひと味違う『日々ロック』の監督とヒロインがぶっちゃけ対談!

さえない男がロックスターを目指す姿を描いた、榎屋克優による人気マンガが映画化! 主演を差し置いて(!?)、入江悠監督とヒロイン・二階堂ふみがぶっちゃけ対談でロック魂を見せつける!

■昆布ぐらい食べさせてよ!

―コアな音楽マンガ『日々ロック』を映画化しようと思ったきっかけは?

入江 「このマンガ、知ってる?」って実写化を打診されて。以前から知っていた作品だったんですけど、読み返したらあらためて熱いマンガだなと。泥くさくて洗練されてなくて。汗とか、唾とか、ゲロとか、オッパイとか、チ○コとか、いっぱい出てくるでしょ。そういう映画ってなかなか作れないなと。

―二階堂さんをキャスティングしたのは?

入江 脚本を書いてるとき、ちょうど、僕のFacebookに急に二階堂さんが“いいね!”をしてくるようになって。留学中でニューヨークにいたんだよね?

二階堂 そうです。ニューヨークから、いいね!してました。

入江 脚本を何度か書き直して、宇田川咲ってキャラクターが原作とはだいぶ変わったんですけど、この役、どうしようかと思ってたら、「そうだ、いいね!押してくれてたよな」って二階堂さんが浮かんで、オファーしてみようかなと。

―運命的な、いいね!のタイミングだったと。

二階堂 あ、でも入江さんだけじゃなくて、みんなにいいね!をしてたんですよ(笑)。

入江 俺が釣られたんだ(笑)。

―二階堂さんは以前、「かわいいと言われない女優になりたい」って言ってましたけど、咲役、かなりかわいかったですよ。

二階堂 私、そんなこと言ってました!? むしろ、かわいいっていっぱい言われたいです(笑)。

入江 一時期、とがってたんじゃない?

二階堂 うーん、気分で言うことが変わっちゃうんで、私。前のインタビューで言ってることが当てにならないんです(笑)。

“夢の中で抱いた3人の女優”のひとり

―「変態と仕事がしたい」って言ってたりもしますけど(笑)。

入江 ハハハハハハ。

二階堂 それは、「面白い人と、これからもお仕事で出会っていきたい」ってことを言いたかったんですよね。「わかりやすく言うと変態と仕事がしたいってことですか? そうなると二階堂さんも?」って言われて、「そうなんじゃないですかねえ」ってノリで答えたら、雑誌では「私は変態です!」みたいなことになってて。私、全然変態じゃないです。フツーです(笑)。

―監督も某雑誌のインタビューで、“夢の中で抱いた3人の女優”の中に、二階堂さんの名前を挙げてたりしますよね。

入江 そ、そんなこと言ってました?

二階堂 うれしいなあ~。

入江 え、えーと、ちなみに、あとふたりは誰でした?

―奥○恵さんと、夏○さんです。特に、二階堂さんのことを「かわいい」って連発してました。

入江 言ったかもしれないですけど、お、覚えてないですね。ま、まあ、確かに本人を前にしてあれですけど、天使なんですけどね。ハッとする表情とかね。演出じゃ出てこないですから。

―二階堂さんには、監督はどう映ってますか?

二階堂 私が今までご一緒させていただいた監督って、「ついていきたい」って思える、すごく魅力的な方々ばかりで。入江さんもそうです。3年前に一度、お仕事をさせていただいて。今回『日々ロック』に入江組の一員として呼んでいただけたんで、「どこへでもついていきます!」って意気込みでした。

―今回、監督は現場で、どんな演技指導をしたんですか?

入江 なんかあったかなー。

二階堂 野村(周平)くんに、「ゴキブリみたいに!」って言ってましたよね。

入江 それは言った(笑)。この映画の中にしかいないキャラクターになってほしくて。なんか、サラッとしてほしくなかったから。「虫みたいになってくれ。這(は)ってるような感じで」って。

「うわ、これが俳優か」って感動した

―二階堂さんには?

入江 もう脚本を理解する力がハンパじゃないんで、特には。あ、でもラストの病院でのシーン、すごい痩せたよね?

二階堂 あのシーンの撮影日が決まって、3日間絶食して。でも、だんだん台詞が出てこなくなってヤバイなと。現場になぜか昆布があったんで食べてたら監督が来て。監督は何も言ってないのに、「昆布ぐらい食べさせてよ!」って逆ギレして(笑)。撮影が終わったら、まず、ずっと食べたかった、じゃがりこを食べましたね。

入江 もともと細いのに、さらにあんだけ細くなったからね。しかも大量の雨を浴びるシーンで。大丈夫なのかなって見てたんだよね。

二階堂 あのシーン、私は監督に感動して。一緒に濡れながら、横でずっと、「そこでひよ子食べる!」「這いつくばる!」って声をかけてくれて。

入江 あれは……。二階堂さんのかぶってた帽子がズレたんだよね。時間的にも体力的にも、止めてもう一回やるのはムリだなと思って。俺が一番近かったから、直しに行って。そのまま近くにいただけで。そしたら、少しだけ俺も雨を浴びたっていう。で、一発で風邪引いて。

二階堂 翌日、マスクしてましたね(笑)。

入江 あのシーン、薄着一枚なのに、寒い、冷たいが表情に出ないって、「うわ、これが俳優か」って感動して。俺、ちょっと雨を浴びただけで、「スッゲー冷てー。もうムリ!」ってと思ったから。

*この続きは、発売中の「週刊プレイボーイ48号」に掲載!

(取材・文/水野光博 撮影/本田雄士)

●入江悠(いりえ・ゆう)1979年生まれ、埼玉県出身。映画『SR サイタマノラッパー』シリーズで注目を浴びる。ほかの監督作品は『劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ』など。映画だけにとどまらず、テレビ、MV、Vシネの監督まで、幅広く活躍中

●二階堂(にかいどう)ふみ1994年9月21日生まれ、沖縄県出身。ティーン誌のモデルを経て入江監督作品の『劇場版 神聖かまってちゃんロックンロールは鳴り止まないっ』で映画初主演。それを皮切りに、『ヒミズ』『悪の経典』『渇き。』など、話題作に次々と出演する、注目の若手女優

■『日々ロック』11月22日(土)より全国公開予定さえない男だが、ロックを愛する心だけは誰にも負けない日々沼拓郎。バンドを結成し成功を夢見るが……。出演・野村周平、二階堂ふみほか