正月中に食いすぎた?と、今、後悔してる人も多いはず。しかし、お餅やおせちは十分カロリーは高いけど、コレステロール(脂肪分)はそう高くなかったりもする。むしろ、新年の仕事が始まるとどうしても増えてくる外食のほうが、コレステロールはずっと高いらしい……。

ということで、意外とみんなわかっていない「コレステロール」の最新・基礎知識を、医師の村中璃子氏に教えてもらった。新年だけじゃない、一読すれば一生役に立つ!

Q)「コレステロール値が高い」「内臓脂肪がたまっている」と言われたら?

基本は食事と飲酒の節制です。脂肪分、糖分を問わずカロリーの取りすぎに注意し、野菜を中心に繊維質に富んだ食事をすることです。また、アルコールは少量であれば善玉を上昇させますが、脂肪の分解を妨げ、内臓に脂肪をつきやすくさせるという働きがあります。

実は運動には食事ほど直接的な効果はありませんが、心拍数の上がる運動は有効とされます。ちなみに、一度ついた内臓脂肪は食事にだけ気をつけてもダメで、運動をしなければなかなか落ちません。

Q)食事や運動でどうにもならなければ?

悪玉コレステロールを下げる「スタチン製剤」と呼ばれる薬があります。コレステロールが肝臓で合成されるのを邪魔する働きがある薬です。

スタチンにはコレステロールを下げる働きや動脈硬化の予防効果に加え、アンチエイジング効果もあるので「若返りの薬」としてファンも多く、本当に必要がなくてもこの薬を飲み続ける人も多いのが現状です。

アメリカでは悪玉コレステロールの基準値が年々下げられ、それに比例してこのスタチン製剤の売り上げが増えているため「製薬会社に踊らされているのではないか」という疑念も生じています。

コレステロールの数値や「基準値」って何?

Q)健診結果報告書にあるコレステロールの数値や「基準値」って何?

コレステロール値は、血液中にあるコレステロールの「濃度」を測定したもので、「mg/dl(=1デシリットル当たり何mg)」という単位で示したもの。

現在の悪玉コレステロールの「基準値」は、心筋梗塞のリスクとの関連性を、数年間追跡した研究の結果に基づいて設定されています。

ただ、これまでは一律にLDL(悪玉)コレステロール値140以上を「異常」とし、140以下に下げるよう管理していましたが、最近ではリスク別に目標基準値が設定されるようになりました。

例えば、悪玉コレステロール以外に心筋梗塞を起こすほかのリスクがない人であれば管理目標値は160以下です。

Q)ということは、「問題ないコレステロール値」って人によって違うの?

はい。男女別・年齢別によっても異なります。

例えば、女性は男性よりも悪玉コレステロールが高くても病気になりにくいというデータがあります。一方で男性の場合、悪玉コレステロールだけが高い人はまれで、たいていは肥満を背景として高血圧などほかのリスク要因をもっています。

このように、節制や薬物治療が必要となるラインについては性別・年齢によってばらつきがあり、実は医者の意見も分かれるところなのですが、「基準範囲内では悪玉コレステロールは低いほうがよい」という意見は医者の間でも圧倒的。食事やお酒を節制して程よく運動し、肥満や隠れ肥満にならないよう、気をつけて生活することが大切です。

(文/村中璃子)

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●村中璃子(むらなかりこ)医師、ライター。一橋大学社会学部・大学院卒。社会学修士。北海道大学医学部卒。WHO(世界保健機関)の新興・再興感染症対策チームなどを経て、現在は都内大手企業で産業医としても勤務。医療・科学ものを中心に執筆中

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