ますます競争が激化しているファミレス業界。各社それぞれに独自のサービスを打ち出し、消費者にとってはどこで良し悪しを判断していいのかわからない。

そこで、食の専門家の力を借りて、「行ってはいけないファミレス」の見分け方を徹底検証。まず注目すべきはメニュー、そしてサラダだ。

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フードビジネスコンサルタントの田川耕氏、食品安全教育研究所代表の河岸宏和氏のふたりを引き連れ、まず潜入したのは都内にある低価格がウリで家族連れも多いファミレスA店。席に着くなり、河岸氏がこう口を開く。

「ダメですね。この店は…」

―まだ注文もしてないのに!?

河岸「入り口にゴミが落ちてたし、醤油のトレイに輪ジミがついています。衛生管理に配慮してない店が食材に気を配れるはずがありません」

田川氏もメニューを見ながら怪訝(けげん)な表情を浮かべている。

田川「イチオシの炭火ハンバーグには『オージービーフ100%』と書いてあるけど、その下にある和風ハンバーグには何も書かれていないでしょ。どこが産地のどんな肉を使っているのかが不明です。店として客に訴えたいことはメニューに積極的に書くけど、それ以外は書かない。後ろめたさの表れですね」

河岸「産地も肉の配合率も書かれてないハンバーグは、牛肉だけじゃなくて安価なブラジル産鶏肉とアメリカ産豚肉を混ぜているかもしれませんねぇ」

ふたりの勧めに従って和風ハンバーグ、ステーキ、シーザーサラダを注文。サラダが届くと、田川氏がおもむろにその皿を指で触り始めた。

ちゃんとした野菜を提供する店の見分け方

―何してるんですか?

田川「各店の料理の質へのこだわりはサラダの皿に出ます。なるほど、この店の皿はしっかり冷やしてありますね。ファミレス、居酒屋とも常温の皿で出す店が大半ですが、生野菜はひんやりしているほうが断然おいしい。この店はサラダへの細かな心遣いが感じられますね」

―確かにシャキシャキ感もあっておいしいです。

河岸「ついでといってはなんですが、ドレッシングだけをひと口なめてみてくださいな」

―……しょっぱいですね。

河岸「でしょ? ファミレスの野菜は工場でカットした後に冷凍して店に納入されるものが多いんです。ただ、カットしてから提供されるまで数日かかるので、その間に傷まないようジア(次亜塩素酸ソーダ)という液体で何度も洗われる。すると当然、野菜本来の味も栄養も抜けてしまいます。それをごまかすために強烈に濃い味のドレッシングを使っているんです。

見分け方として、レタスが真四角に切られている場合は、工場で“ジア洗浄”されたカット野菜のサラダである可能性が高い。ただ、もはやそれはサラダではなく、野菜本来の味が抜けた“サラダっぽい何か”ですが」

健康志向の高まりに応じて野菜をウリにするファミレスは多いが、そこには本当に栄養があるのか。“サラダっぽい何か”を判断する上でひとつの基準になるのが、レタスの形状とドレッシングの濃さということを覚えておこう。

(取材・文/興山英雄)

■週刊プレイボーイ3・4号(1月5日発売)「行ってはいけない外食チェーン店を見破る20の方法!」より(本誌では、さらに詳細な見分け方と居酒屋についても徹底検証!)