新年会で利用する機会も増える居酒屋チェーン。しかし、価格がほぼ横並びの店が多く、どんなポイントで良し悪しを見極めればいいのかわかりづらい。“食の安全”も指摘されている昨今、どの店を選ぶべきか?

そこで、フードビジネスコンサルタントの田川耕氏、食品安全教育研究所代表の河岸宏和氏のふたりに協力していただき、覆面調査を敢行! 学生もコンパなどで利用する、低価格系チェーンB店への潜入を試みた。前編に続き、さらに見分けるポイントを指南!

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―続いて、から揚げがきましたよ。これはハズレなしでしょう。

河岸「甘いです(笑)。それはたぶん、水ぶくれから揚げです」

―水ぶくれ?

河岸「海外の工場で肉の量に対して2割ほど植タンと水が生の鶏肉に注入され、ブヨブヨでとても食べ物とは思えない状態になる。このブヨブヨ肉の形を整えながら油に入れると“水ぶくれ唐揚げ”の完成です。これが冷凍されて各店に配送。店内の厨房で二度揚げされたモノがテーブルに運ばれてきます」

…………。

河岸「全国チェーンの居酒屋はほぼこれです。箸を入れても肉汁が出なければ、水ぶくれから揚げですね。逆に肉汁があふれ出たら、その店では厨房でさばいた新鮮な鶏肉をから揚げにしています」

―あのー、さっきから気になっていたんですが、この店、ちょっと油臭くないですか?

河岸「たぶん、出元は揚げ物を揚げる厨房のフライヤーでしょう。油が酸化したにおいです」

―イヤなにおいですよね。

河岸「これほどの臭気を発しているということは、フライヤーの油を何ヵ月も取り替えてない証拠。そんな状態の油で揚がったから揚げを食べたら、おなかの弱い人なら下痢をしますよ」

“店舗責任者”がバイトの店は要注意

―ヒドすぎる……。

田川「厨房の衛生管理だけでなく、ホールもメニューは汚れたままだし、配膳の際には客に料理を手渡すし、接客スタッフにも笑顔がない…。さっき名札に“店舗責任者”と書かれていたスタッフに聞いたら、その人はバイトでした。

つまり、この店には社員がいない。外食業界のひとつの傾向ですが、最近は人件費削減のために社員ひとりで複数店舗を見るエリアマネジャー制を敷いているんです。バイト任せになるので、調理、衛生管理、接客がずさんになりがち。この店はその典型です」

― 居酒屋の質は“店長力”にも大きく左右されると?

田川「その点でいえば、和民の店長力は高い。“一店舗・一店長制”を敷き、各店にはリーダーシップがあり、バイトからも尊敬される人材がそろっています。巷(ちまた)では“ブラック企業”と非難されていますが、少なくとも店内にその要素は感じません」

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覆面調査で明らかになった、店の良し悪しを見抜くコツの数々。とはいえ、これを全部実践すると、行ける店が限られてくるので、最終的な判断はもちろん個人の自己責任ですよ!

(取材/興山英雄)

■週刊プレイボーイ3・4号「行ってはいけない外食チェーン店を見破る20の方法!」より