２１都道府県にまで１００店舗近く全国展開していたデリバリーヘルスの「サンキューグループ」が、従業員に売春をさせた容疑で先日摘発された。
そこには警察に対する舐（な）めた現状があったようだ。
「今回摘発されたのは、まだ営業している渋谷店と大塚店を含めた『五反田系列』とも呼ばれる本店系列の６店舗です。それ以外の『サンキューグループ』は、おそらくＨＰでも募集しているフランチャイズなのでしょう（池袋総本店なるものもあるが詳細は不明）。」
そう語るのは、ソフト・オン・デマンドの風俗覆面調査団『ｋａｋｕ－ｂｕｔｓｕ』（カクブツ）の島崎ぱる夫さん。フランチャイズといえば、コンビニやファミレスと同じ手法。なるほど、そんな手段で拡張していたとは…！
そのサンキューグループの人気は、そもそも価格の安さにあった。消費税増税後は５００円値上げしたものの、当初はネーミング通りの３０分３９００円という値段。さらに、指名料２０００円を払えば、ＡＦや道具系、写真撮影など全てのオプションが無料に（女性によって不可もあり）。
マニアックなプレイをできる店は当然ながら料金が高くなる風俗業界で、異例の安さで顧客を呼び込んでいたのだ。
風俗業界に詳しいライターのＳ氏によると、「１０年以上前は、箱ヘルで経営していたはずです。その頃から値段は同じで人気でした。それが風営法改正でデリヘルに鞍（くら）替えして、ここ数年で一気に広げたようです」
そのプレイ料の安さゆえか、「当時からてんてん虫（＝転々虫。在籍店を頻繁［ひんぱん］に変える風俗嬢）や他店では雇えないレベルのコが在籍してました」（Ｓ氏）というが、実際、報道では摘発だけでなく「容姿がまるで別人」という苦情がきていたことまで指摘されている。
「わざわざメディアにそう書かれることは異例ですね。それも摘発理由なら、『景品表示法』の容疑も考えられますけど。よっぽどひどくなったんでしょうか（苦笑）」（Ｓ氏）
ＡＦ生中出しはＮＮ（生ハメ中出し）の隠語？
しかし、それについては島崎氏（前出）が否定する。
「そもそもパネマジ（※）は激安店ではよくあることですが、『サンキュー』で加工していたのではなく、基本は女性が過去に勤めていたお店写真の流用やプリクラが主流。それが実体と異なる（太った、老けた）ものだったということだと思います」※パネルマジック＝写真などが加工されて提示されていること
他の激安店と比較しても、そこまで酷（ひど）いわけではなく、「ここ１年くらいで急に増えた“プレミア女性”も魅力でした。プレミア料金として１０００～５０００円必要ですが、巨漢があたる率が減るので、ちょっとした保険料ですね」（島崎氏）とのこと。
また、風俗誌編集者・Ｎ氏も「フツーにカワイいコも在籍していた」と、ハズレの嬢ばかりだったわけではないようで、やはり今回の摘発とは直接関係がないものと思われる。実は、その裏には人気すぎるがゆえの別の背景があったのだ。
フランチャイズ店ではなく、本店系列の６店舗で行なわれていたという売春容疑。その実態を、新橋店をよく利用していたという事情通のＰ氏が明かしてくれた。
「ここ１年くらい前から“ＡＦ生中出し”の可能な女のコが増えていました。ところが、このＡＦ生中出しが隠語として使われていたっぽいんです。実際にＡＦをやらせるコはほとんどおらず、『実はできないけど（代わりに）前ならいいよ』という流れで本番行為に及んでいたみたいなんですよ。
恐らくですが、『ＡＦ生中出し＝ＮＮ（生ハメ中出し）嬢』とのネット情報が元となり、あからさまだと警察も動いたのではないでしょうか」
警察、同業者を敵に回したのか
実際、「新橋を利用していた限り、全ての女性が管理売春だったとは言い切れないですが、『ＡＦってオプションを付けたほうが客がつく。それで前でやっちゃえばいいと言われた』という話を最近一度だけ女のコから聞きました」（Ｐ氏）
実は、業界では有名だったようで、前出のＮ氏も「噂でですが、それは聞いたことがあります。昔からサンキューグループは警察に強気な営業方針で、独自に風俗適正化のマークを作ってＨＰに掲載したり、挑戦的な態度も警察を刺激したのかも」と推測する。
さらに、それらを裏付ける証言も…。グループの社長ら従業員とも親しかったというＫ氏がこっそり証言してくれた。
「とにかく金回りがよかったようで、やたら高級なブランドものを身に付けてたり、羽振りはよかったですよね。飲みの場ではよく裏事情も話してましたが、３９００円を売りにして、実際はオプションのアナルで稼いでるって。女のコにもそれをわからせて講習から仕込んで、イヤなら本番をさせろと教えてると。
風俗業界も不振のなか、目立ちすぎてたんで他の同業者から妬（ねた）まれて警察にチクられたんでは？って噂も聞いてますよ」
どうやら、イケイケすぎて狙われたということのようだが、本番行為は違法。店もお客も「サンキュー！」と、ご馳走さましてしまってはいけない。
（取材・文／週プレＮＥＷＳ編集部）