海上では、海保のボートとカヌー隊による衝突が繰り広げられている

新基地建設反対の民意を無視して安倍政権が沖縄・辺野古で建設作業を強行、市民らとの緊迫した情勢が続いている

沖縄で今、何が起こっているのか? ノンフィクションライ ターの渡瀬夏彦氏による現場レポート、PART3!PART2はコチラ)

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1月15日深夜の重機搬入(PART1参照)の翌朝には、防衛省沖縄防衛局は、海上作業の強行再開に踏み切った。

ジュゴンやサンゴの希少種など多様な命を育む辺野古・大浦湾の宝の海を埋め立て、破壊してまで新基地を造らないと気が済まない安倍政権は、海上保安庁の巡視船を十数隻もこの海域に送り込み、「海猿」といわれる海上保安官たちを頑丈なゴムボートに乗り込ませ、新基地建設強行のガードマン役を担わせている。

そして、そこでは非暴力の正当な抗議活動をするために集まった数隻のボートや20艇ほどのカヌーを暴力的に排除・拘束するシーンが、今日も繰り広げられているのだ。

米軍海兵隊キャンプ・シュワブの工事車両ゲート前ではすでに、機動隊員との衝突で80代の女性はじめ、複数のケガ人が出ている。また、辺野古・大浦湾の海域では、海上保安庁の警備によって頸椎(けいつい)捻挫や肋骨(ろっこつ)骨折、打撲などのケガ人が複数出ており、ケガを負わせた海上保安官が彼らによって告訴される事態も生まれている。

抗議の市民ら支援者たちは、ゲート前では機動隊員や民間警備会社の警備員、そしてその後ろに控える防衛局職員と、海上では「海猿」たちと今も厳しい対面を強いられている。

実はわたしも昨年8月以来、何度も市民の抗議船やカヌーに乗せてもらい、海上保安庁の職員たちと対峙(たいじ)し、「安全指導」という名の法的根拠のない拘束をやめるよう語りかけた経験がある。

しかし、海保の暴力的な排除はエスカレートする一方で、現場の緊張は高まり続けている。このまま安倍政権が民意を無視し続けるなら、もっと大きな衝突や深刻な事態がいつ起こっても不思議ではない。

(取材・文/渡瀬夏彦 撮影/森住 卓 冨田きよむ)

■週刊プレイボーイ6号(1月26日発売)「“安倍の民主主義”を日本人は許していいのか?」より